西アフリカの島国で作られ、日本では珍しいチョコレートを千葉県いすみ市の中沢かおりさん(38)が運営するネットショップを中心に販売している。苦みや雑味がないのが特徴で、「多くの人に知ってもらいたい」と話す。
チョコレートは、ギニア湾に浮かぶ赤道直下のサントメ・プリンシペから輸入している。この地でイタリア人のクラウディオ・コラッロさんが製造する商品で、原料のカカオ豆の栽培から加工、製造まで独自の製法を確立している。
中沢さんは2019年夏に現地を旅行し、コラッロさんが家族で経営する工房の見学・試食ツアーに参加した。通常のカカオ豆は苦みや酸味が引き立つが、工房のカカオ豆をそのまま食べると、「バランスが取れていた。その豆から作ったチョコもおいしくて感動した」
チョコレートはサトウキビから作った砂糖を使うが、乳化剤や香料といった加工物は入っていない。サントメ・プリンシペは1975年までポルトガル領で欧州からの観光客が多く、このチョコレートは欧州で高い評価を受けている。
中沢さんは帰国後にまた食べたいと思ったが、購入できる店がなかった。個人で買う場合は送料が商品の数倍もする。本業が1級建築士の中沢さんは食品の販売経験がなかった。それでも、「みんなに食べてほしい」と思い、自身が輸入して販売することを決めた。
いすみ市の事務所「バナナドライブ」を代理店にして2020年から、ネットショップ「せかいいち」で販売を始めた。カカオ100%が50グラムで1512円、75%が1296円(いずれも税込み)。同市岬町長者のオーガニック専門店「いすみや」でも購入できる。
中沢さんは夫で家具職人の小山信広さん(44)と20年、埼玉県春日部市から移住した。家具工房として借りた倉庫がいすみ市にあったことがきっかけだった。
小山さんは北海道洞爺湖町生まれで、地元の消防署勤務などを経て、家具職人になった。バナナドライブでは小山さんが家具作りを、中沢さんが住宅リノベーションなど建築設計を中心に手掛けている。
3歳と10カ月の息子2人と暮らす。自然に囲まれた暮らしを気に入り、市内の起業家の集まりなどを通じて地域とのつながりも広がっている。
横浜市出身の中沢さんは大学卒業後、いくつかの建築事務所で働いた。都会の会社勤めのころ、疲れた仕事帰りにチョコレートを食べるとリフレッシュできた。「こんな味もあるんだと新しいチョコレートを知るきっかけになればうれしい。これからも世界を旅して素敵なものを探したい」(中野渉)
からの記事と詳細 ( 西アフリカの島国からチョコ輸入 千葉県いすみ市の建築士が代理店:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル )
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