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Saturday, June 10, 2023

社説:ミルハス開館1年 にぎわい持続へ努力を|秋田魁新報電子版 - 秋田魁新報電子版

 秋田市のあきた芸術劇場ミルハスが今月5日、開館1周年を迎えた。メインとなる大ホール(2007席)と中ホール(800席)の稼働率は8割を超え、集客規模の大きいイベントも当初の目標を上回るペースで開催されている。

 注目度の高い楽団や劇団、アーティストの公演を誘致するなどした成果だろう。この流れを持続するには不断の努力が欠かせない。共同整備した県と市、指定管理者のあきた芸術劇場AAS共同事業体は利用者の声に耳を傾け、魅力を高める知恵と工夫が求められる。

 新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会、国内有数の人気がある演劇やミュージカル、バレエ団体の公演、本県では10年ぶりとなった山下達郎さんら著名アーティストのライブ、県内芸術文化団体による発表会、世界洋上風力サミット…。ミルハスではこの1年、多彩な催しが連日のように行われてきた。

 昨年度開催された公演や会議などのうち、1500人超を集めたイベントは98件。県の目標(42件)を大幅に上回る。現在も大、中ホールは数カ月先まで予約でほぼ埋まる。芸術文化の拠点として県民に定着しつつあるといえよう。

 開館に伴う人の流れは中心市街地のにぎわいを生み出している。近隣店舗の中にはミルハスから発行される公演スケジュールを基に、営業時間を延長したり、定休日に臨時営業したりしている店もある。県内外からほぼ定期的に集まる2千人近い人を呼び込み、商機につなげてほしい。

 一帯は秋田市文化創造館、県立美術館、アトリオンなど芸術文化施設が集積。市は「芸術文化ゾーン」と位置付ける。現在は千秋公園の堀に遊歩道の整備が進められており、来年3月には全面的に使えるようになる予定。ミルハスを核に、既存施設同士の連携や新たな仕掛けも組み合わせながら、官民一体で一層のにぎわいを生み出したい。

 この1年で浮かんだ課題の解決にも取り組む必要がある。指摘されているのがロビーやホワイエ(ホール外の通路)の複雑な構造に起因する動線の分かりにくさ。観客の入退場を円滑にし、緊急時の避難にも支障がないよう、AASは誘導の適切な方法を確立し、蓄積したノウハウを主催者と共有して万全の対策を整えることも重要だ。

 劇場の魅力を今後どう高めていくかも問われる。隣県ではプロモーターへの営業活動によって集客力のあるイベントを次々と実現させた施設もある。最新の音響や舞台装置など優れた施設機能をアピールする営業活動も求められる。

 今年1月の県民参加型ミュージカルの成功を受け、定期的な開催を求める声もある。多くのイベントに県民の参加を促し、親しまれる施設となるための工夫を重ね続けてほしい。真価が問われるのはこれからだ。

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