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Sunday, March 12, 2023

中高年の持続する低賃金は死亡率増加に関連 - 日経メディカル

 米国Columbia大学のKatrina L. Kezios氏らは、Health and Retirement Study(HRS)のデータを利用して、50歳以上の米国人の雇用状況を調べ、安定した収入がある人に比べて低賃金労働の経験期間が長い人は総死亡リスクが高くなり、雇用が不安定な場合はさらにリスクが増加していたと報告した。結果はJAMA誌2023年2月21日号に掲載された。

 社会経済的地位と死亡率の関係は、既に多くの研究結果が報告されている。収入や富の減少と死亡リスクの増加や余命短縮の関係も示されている。低賃金労働は公衆衛生上の問題として認識されるようになってきたが、健康との関係を検討した研究は少ない。ゆえに、最低賃金の引き上げといった政策が国民の健康に及ぼす影響を推定することはできなかった。

 時給が低い人々の労働現場は好ましい状態にないことが多い。有害な環境に曝されたり、ストレスレベルが高かったり、雇用が不安定であったり、搾取があったりする可能性が高い。それらは全て、身体的および精神的な健康の危険因子であることが示されている。そこで著者らは、低賃金での労働が続くことが、長期的な健康の転帰に及ぼす影響を明らかにしようと考えた。

 この研究ではHRSのデータを利用した。HRSは50歳以上の米国人約2万人(とその配偶者)をサンプリングして長期追跡し、社会経済状態や健康状態を調べている。Michigan大学が中心になって1992年に開始した。インタビューなどで2年ごとに参加者の調査を継続し、6年ごとに50歳以上の新たなバースコホートの追跡も始めている。

 対象は、1992年に開始した最初のコホート参加者(当時50~57歳)と、1998年に始まリ、当時、50~57歳だったリフレッシャーコホート参加者のうち、12年間に3回以上時給当たりの賃金を報告していた給与労働者とした。

 低賃金の基準は、常勤の通年の仕事における時給が連邦政府の貧困ライン以下の場合とし、それぞれの回答者について、12年間に低賃金に該当する期間なし、間欠的に低賃金を経験、持続的に低賃金の3種類に分類した。不安定な雇用は、12年間に2回以上、非雇用への転換が生じていた場合とし、安定雇用は12年間の50%以上が連続雇用だった場合とした。

 死亡に関する追跡は、最初のコホートは2004年以降、リフレッシャーコホートは2010年以降、2018年までの死亡の有無を調べた。

 主要評価項目は、低賃金歴と総死亡の関係とした。Cox比例ハザードおよび加法ハザード回帰モデルを用いて、社会人口学的特性、経済的特性、健康に関する特性などの共変数で逐次調整して推定した。性別または雇用の安定性の交互作用は、乗法スケールおよび加法スケールにより検討した。

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