シンガポール政府は2024年度(2024年4月~2025年3月)から段階的に、政府入札で環境持続への貢献度を審査する方針だ。まず、大規模建設工事や情報通信技術(ICT)の政府入札を皮切りに、環境持続性を審査対象とする。
政府は2007年から、建築物からICT機器、乗用車などの調達にあたり、一定の環境基準を満たすことを義務付けている。2024年度からは政府入札の審査で、環境への貢献の審査をさらに強化する。環境持続省の発表(2023年3月2日)によると、2024年度から第1段階として大型建設工事とICTの政府調達について、審査評価の最大5%を、環境持続性に割り当てる。大型建設工事とICTは現在、政府調達の約6割を占めるという。政府は具体的な審査方法について業界関係者からの意見を収集した上で、後日詳細を発表する予定。
同国では現在、政府の建物の新築・改装入札についてすべて、省エネビルの環境基準「グリーン・マーク」の「プラチナム・超低エネルギー」基準と、メンテナンス基準を満たす必要がある(注1)。また、乗用車の政府調達についても2023年から、すべて環境に優しい燃料車である必要がある(注2)。
2023年度から政府の環境取り組みの年次報告書を発表へ
政府は2021年2月、2030年までの環境行動計画「シンガポール・グリーンプラン2030」を発表した(2021年4月28日付地域・分析レポート参照)。また、政府は2022年10月、二酸化炭素(CO2)の排出量を2050年までに実質ゼロ(ネットゼロ)とする新たな目標を設定している(2022年10月31日記事参照)。政府はシンガポール・グリーンプランに基づき2021年に、政府機関が取り組むべき環境イニシアチブ「グリーンガブ・SG(GreenGov.SG)」を発表。この中で、政府機関については2045年までにネットゼロを達成するとの目標を明らかにしている。
グレース・フー環境持続相は3月2日の予算審議で、「公共部門がシンガポールの脱炭素化の取り組みを先取りし、環境の取り組みが根付くようにしたい」と述べた。観光持続省は2023年度から、政府の環境の取り組みの実績の詳細を記した年次報告書「グリーンガブ・SGレポート」を発表する方針だ。また、2024年度から各政府機関は毎年、環境情報を開示する予定。
(注1)グリーン・マーク基準については、建設庁(BCA)のサイトを参照。
(注2)その他、現行の政府調達の環境基準については環境持続省の3月2日付報道発表の付属文書を参照。
(本田智津絵)
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