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Tuesday, June 21, 2022

社会の調和と持続可能性 豊かな視座で両立図れ 日経SDGs/ESG会議 - 日経BizGate

 持続可能な社会の実現に向けて、建築はどのような貢献ができるだろうか。また、国際社会や日本はどのような役割を果たすべきか。5月に開催された「日経SDGsフェス」に登壇した識者は、それぞれの立場から現状の課題を整理し、今後世界が向かうべき未来図を提示した。

日本経済新聞社と日経BPは2022年5月9日~14日、SDGsをテーマにすべての人々や企業とともにSDGsの実現を議論する世界規模イベント「日経SDGsフェス」を開催いたしました。

※2022年5月9日のプログラム「日経SDGsフェス 日経SDGs/ESG会議」にご登壇くださった識者の皆様のご発言をダイジェスト版でご紹介します。

 包摂的なローカリズム構築を

 ラグラム・ラジャン氏 米シカゴ大学 教授/インド準備銀行(中銀)元総裁

 社会を支える第1の支柱は市場であり、第2の支柱は国家だが近年、2つの支柱は機能不全に陥っている。ICT革命とグローバル経済の台頭は製造拠点の海外流出を招き、低・中所得者の雇用を空洞化させた。また世界的な市場統合が進んだ結果、意思決定の権限が州や国家など、自治体より上位の組織へ移譲された。これらの問題を解決するには、社会を支える第3の支柱であるローカルコミュニティーの価値を見直し、再興させる必要がある。構築すべきは、域外の者を阻害する排外的なローカリズムではなく、域外の人や市場ともつながれる、包摂的なローカリズムだ。

 国際協力、低所得国支援が必須

 ジェフリー・サックス氏 米コロンビア大学 教授

 世界は、今世紀半ばまでの脱炭素の実現という使命を背負い、緊急に行動を起こす必要に迫られている。脱炭素に資する技術進化が進む一方、懸念されるのは国際協力の不足だ。東アジアでは、地域的な包括的経済連携(RCEP)による脱炭素化戦略の実践を期待する。温暖化ガスの排出量が低いにもかかわらず、気候変動に伴う干ばつなどの甚大な被害を受ける低所得国への金銭的支援も重要だ。私は、高・中所得国に排出量に応じた課税をすることで、年間1000億ドルを調達するシステムを提唱。今年11月にインドネシアで開催されるG20の会合での合意を目指す。

◇     ◇     ◇

 自然資本を維持、拡大

 金井 司氏 三井住友信託銀行 フェロー役員 チーフ・サステナビリティ・オフィサー

 2030年までに生物多様性の損失をプラスに向かわせるネイチャーポジティブは、世界の共通目標だ。当社は多様な生物を含む自然資源、健全な生態系等で構成される「自然資本」を企業価値創造の基盤と認識、グローバルとローカルな視点からその維持、拡大を図る融資や信託商品を開発してきた。今後も積極的なコミットメントを続けたい。

 環境社会経済の共生築く

 中島 篤氏 三菱地所 代表執行役 執行役専務

 当グループのサステナビリティーに関するビジョンは「Be the Ecosystem Engineers」。多様な主体が持続的に共生関係を構築できる場と仕組み(=エコシステム)の提供を目指す。2020年から大手町、丸の内、有楽町地域の企業や組織が参画する「大丸有 ACT5」プロジェクトを実施。SDGs(持続可能な開発目標)に資する活動を幅広く展開している。

 持続可能な1次産業実現

 梅田 泰弘氏 農林中央金庫 常務執行役員

 当金庫は、1次産業の環境負荷軽減などに貢献する取り組みを金融面から支援。持続可能な1次産業や食糧の国内生産基盤の確立などの課題に対し、多様なパートナーと連携し、解決に向けた取り組みに注力している。「大丸有 ACT5」では、生産者の思いを発信する試食つきのセミナーを実施。今後もチャレンジ精神をもって多彩な施策を展開していく。

“世界の知”に学び、SDGsに対する理解を深める
2022年5月開催「日経SDGsフェス」の動画を無料公開

日本経済新聞社の「日経チャンネル」では、ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授、日本女性初の国連事務次長である中満泉氏をはじめ、同イベントにご登壇くださった国内外の有識者らによる講演やシンポジウムを動画として無料公開しております。この機会に、ぜひ、ご視聴ください。ご視聴はこちらから

日経SDGs/ESG会議の講演内容はこちらからご視聴いただけます。

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