聞き手/藤井 省吾(日経BP 総合研究所副所長)
世界の水産企業10社でSeaBOSを発足、科学的根拠に基づく戦略と活動で水産業を主導する。肉食が増えて魚介類の消費量が落ちている日本でも、健康面や環境面で魚食の価値を伝えていく。
2021年度までの中期経営計画はサステナブル経営を強く意識したものです。その特色を教えてください。
池見 賢(いけみ・まさる)
マルハニチロ 代表取締役社長
1957年兵庫県生まれ。81年マルハニチロ入社。2017年取締役、19年より専務執行役員を兼務。20年4月代表取締役社長に就任(写真:川田 雅宏)
池見 賢 氏(以下、敬称略) 18年度から21年度までの4カ年を対象としたグループ中期経営計画「Innovation toward 2021」を進めています。従来は財務指標などを中心に中計を策定しましたが、投資家などの意識が大きく変わりつつあることを実感しています。
当社は1880年に鮮魚仲買運搬を始めた旧マルハの創業から数えて140年にわたり、海洋を中心に自然の資源を活用して事業を進めてきました。持続可能な地球・社会づくりに貢献する企業グループに進化することを目指して、「サステナビリティ中長期経営計画」を策定し、中長期の視点で「経済価値」「社会価値」「環境価値」の3つを合わせた取り組みに注力してきました。
マルハニチロのパーパス(存在意義)について教えてください。
池見 必然的に自然資源と向き合います。漁獲量のうち養殖が占める比率も高まっていますが、餌には天然の魚を使っていますし、地球温暖化の影響で養殖ができる場所が変化するなど、自然を相手に事業を進めることには違いありません。
水産業界のリーディング・カンパニーとしてEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)のような健康に良いとされる栄養成分や高タンパクを持つ水産物の価値を伝え、世界中に安定的にお届けすることが存在意義つまりパーパスであり、使命の1つだと考えています。
そこで持続可能な水産物の生産と健全な海洋環境を確保するための活動に参加しています。科学的根拠に基づく戦略と活動で協力しながら水産業を主導することを目的に、2018年から世界の大手企業10社が会員参加した「SeaBOS(シーボス)」です。
日本とノルウェー、タイ、米国、韓国を拠点に漁業や養殖業に携わる水産企業が参加し、SDGsの目標の14番である「海の豊かさを守ろう」への貢献を目指しています。
組織の設立と同時に当社の伊藤滋前社長が初代会長に指名され、世界中の企業と協力して海洋の持続可能性を実現するため、20年10月まで会長職を務めました。
からの記事と詳細 ( マルハニチロ・池見賢社長「持続可能な水産業へ指導力を発揮」 - Nikkei Business Publications )
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