[東京 25日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のチャンヨン・リー局長は25日、米連邦準備理事会(FRB)の利上げによってアジアの新興国経済の回復が遅れ、資本流出リスクを巡る懸念が持続する可能性があると述べた。
ロイターとの書面でのインタビューで、インフレ圧力の高まりや中国経済の減速、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大などもアジア太平洋地域の見通しを曇らせているとした上で、「米国の金融政策正常化がアジアに大きなショックや大規模な資本流出をもたらすとは想定していないが、アジア新興国の回復は世界的な金利上昇とレバレッジによって遅れるかもしれない」と語った。
また、米国のインフレ率が予想以上に高まり、FRBによる「より迅速な、またはより大きな」金融政策の引き締めが必要となるリスクがあると指摘。「このような変化に対する誤解や誤認は、安全への逃避を引き起こし、借り入れコストを上昇させ、アジア新興国からの資本流出につながりかねない」とした。
IMFは25日公表した世界経済見通しで、2022年のアジア新興国の成長率予測を10月時の6.3%から5.9%に引き下げた。中国の22年の成長率予測が0.8%ポイント下方修正の4.8%と大幅に引き下げられたことが主因。
リー局長は「中国は依然として世界の工場だ。中国の内需が弱まれば、近隣諸国の外需も全般的に減少する」とした。
このほか、アジアは昨年、景気回復が遅れ、他の地域に比べてインフレが抑制されていたが、今年はインフレがリスクとして浮上するかもしれないと言及。「22年は景気回復の強まり、食料価格の上昇、輸送コスト高の持続的な影響などにより、アジアが21年に享受していた緩慢なインフレに終止符が打たれる可能性がある。世界のエネルギー価格は21年に大きく上昇した後、22年には安定化すると予想されるが、最近は不安定になっている」とした。
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