フランスINSERMのJoane Matta氏らは、COVID-19パンデミック期間に息切れや疲労感などの症状が長く続いている人を対象に、ELISA法による抗体検査の結果を照合して、報告された症状の多くが「自分はSARS-CoV-2に感染したことがある」という思い込みと関係していたが、実際に抗体検査の陽性者に有意に多かった自覚症状は嗅覚障害のみだったと報告した。結果は2021年11月8日のJAMA Intern Med誌電子版に掲載された。
SARS-CoV-2感染後に多くの人が、疲労感や息苦しさ、注意力の低下といった症状が持続していると訴えている。それらはlong COVIDと呼ばれており、機序は推定されているが、実際にCOVID-19による後遺症なのか、他にも原因があるのかは詳しく分かっていない。そこで著者らは、フランスの地域住民を対象として、パンデミック期間中に自己申告されたCOVID-19感染歴やSARS-CoV-2抗体検査の結果と、後遺症の可能性がある身体症状の持続との関係について検討することにした。
フランスでは、年齢18~69歳の同国民の人口構成を代表する大規模コホート研究「CONSTANCES」を実施しており、2012年から2019年までに約20万人のボランティアが参加して、年1回の質問票による健康状態の調査を受けている。さらにCONSTANCESコホートを利用して、フランス国民のSARS-CoV-2抗体陽性率を推定するための研究「SAPRIS」と「SAPRIS-SERO」が実施された。研究の参加者は2020年5月から11月に、ELISA法でSARS-CoV-2スパイク蛋白のS1ドメインに対するIgG抗体を調べる自己採血型の検査キットを受け取って、検査を実施した。検査結果は郵便または電子メールで参加者に伝えられた。
COVID-19感染歴に対する質問は2020年12月~2021年1月に実施した。「2020年3月以来、あなたは新型コロナウイルスに感染したことがあると思いますか」という質問に、「はい」「いいえ」「分からない」で回答してもらった。回答が「はい」だった人には、感染したと考えられる時期について質問し、3月~6月、7月と8月、9月以降に分けた。感染が確定したかどうかについては、PCR検査、抗原検査、抗体検査、迅速診断検査、唾液検査、胸部CT検査、医師の診断、確認していない、の中から選んでもらった。
症状に関する質問は、「2020年3月以降に、以前にはなかった症状を経験したか」を尋ねた。症状の種類は、睡眠障害、関節痛、腰痛、筋肉痛、疲労感、注意力または集中力の低下、皮膚の障害、感覚系の異常(ヒリヒリ、ジンジン、焼けるような感覚など)、聴力障害、便秘、胃痛、頭痛、息苦しさ、動悸、めまい、胸痛、咳、下痢、嗅覚障害、その他の症状とした。何らかの症状がある場合は、「過去4週間以内に経験したか」「その症状は今もあるか」「症状はどれくらい持続したか(1週間以内から8週間超まで)」について質問した。持続する症状がある場合は、「その症状はCOVID-19が原因だと思うか」について尋ね、「全てがそうだと思う」「一部はそうだと思う」「そう思わない」「分からない」の中から選んでもらった。これらの回答のうち、過去4週間以内にその症状があり、少なくとも8週間以上持続していた場合に、「持続する身体症状あり」と判定した。
共変数として、年齢、性別、教育レベル、収入、2019年のCONSTANCES質問票による健康状態を調べた。
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