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Thursday, June 17, 2021

ANA、持続可能燃料の価格引き下げに政府支援求める-脱炭素で - ブルームバーグ

ANAホールディングス(HD)は航空業界で脱炭素化の鍵となる代替燃料の価格引き下げに向けて政府の支援を求めていく考えを明らかにした。

  ANAHDでサステナビリティ推進部長を務める宮田千夏子執行役員はブルームバーグのインタビューで、使用済み食用油などを原料とする「持続可能な航空燃料(SAF)」と呼ばれる代替燃料の価格が使用段階で従来のジェット燃料並みとなるよう政府に対して働きかけていきたいと述べた。現時点では従来品との価格差は1.5-2倍から最大で10倍程度まであるという。

ANA executive officer Chikako Miyata

宮田千夏子執行役員

Source: All Nippon Airways Co.

  国連の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)は2020年以降は国際線で二酸化炭素(CO2)の排出量を増加させないとの目標を掲げており、達成には機体やエンジンなど新技術の開発に加え、SAFの導入が不可欠となる。欧州ではSAFの混合義務の導入や検討が進んでおり、国内外の航空会社は確保に向けて動き出している。

  ANAHDは昨年10月、フィンランドの再生可能エネルギー大手NESTEが製造したSAFを輸入した。宮田氏によると、7月に再び同社から調達する予定。

  宮田氏は、航空業界は「SAFがなければ脱炭素にかじを切れる状態ではない」と強調。海外では製造や購入段階などでさまざまな補助金が出されており、日本でも政府の支援を通じて従来燃料に「近い価格にしていかないと航空会社への負担は大きい」と訴えた。

  また、SAFの利用拡大には生産量の拡大も欠かせない。航空各社が加盟する国際航空運送協会(IATA)によると、現在のSAFの世界の年間生産量は 約1億リットル。航空業界全体の燃料消費量の0.1%に過ぎない。

  政府が昨年発表した「 グリーン成長戦略」では、バイオジェット燃料などの製造コストを30年に既存燃料と同等の1リットル100円台に低減することを目指す方針が示された。また、航空機の電動化の開発推進や水素燃料の活用も掲げられた。

  宮田氏は、国内でSAFが供給される体制が構築されなければ、外国航空会社が「日本に飛んでこない」ということもありえると話す。「国内SAFの製造業者をいかに産業として育成していくかということと、いかにそれを量と価格の両面でできるかは本邦の航空会社にとってもそうだが、日本自体が飛んでくる先としてという意味ではすごく重要な動きになってくる」と述べた。

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