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Sunday, May 2, 2021

チョコレートダイエットは嘘? 高カカオチョコの本当の効果とは - マイナビウーマン

巷でささやかれる「チョコレートダイエット」

「チョコレートダイエット」とは一般的にどのようなものなのか、概要と効果について解説します。

近年話題になっている「チョコレートダイエット」とは、健康効果が注目されている「高カカオチョコレート」を食べ、ダイエットによい効果を期待する方法を指すことが多いようです。

高カカオチョコレートというのは、チョコレートの原材料である「カカオ」の含有量が多いチョコレートのことです。ただし「カカオ含有量が何%以上なら高カカオと呼ばれるのか」という点については明確な定義はありません。

日本チョコレート・ココア協会では「ビターチョコレートとはミルクが入らない、カカオマスが40~60%のチョコレートのことをいう。最近では、カカオ分70~90%という低糖のチョコレートのことをいう場合もある」としていますが、一般的には、カカオ分70~90%のチョコレートのことを「高カカオチョコレート」「ハイカカオチョコレート」などと呼ぶことが多いようです[*1]。

「チョコレートダイエット」で重要なのはこの「高カカオ」という点。なぜかというと普通のミルクチョコレートで同量のカカオを摂取しようとすると、同時に糖質や脂質も多く摂取することになりカロリーオーバーにつながりやすくなるためです。

あくまでもミルクチョコではなく高カカオチョコを選ぶことで効率よく健康効果を得る、というのがチョコレートダイエットの重要なポイントだといえるでしょう。

高カカオチョコレートは、「カカオポリフェノール」を多く含むという点から健康によいといわれることが多いです。

カカオには「エピカテキン」という成分をメインとした化合物(フラバノール)が多く含まれていますが、それらの総称が「カカオポリフェノール」です[*2]。カカオポリフェノールは強い抗酸化作用を持つ成分で、血圧を下げる、動脈硬化を予防する、肌ダメージを抑制する、などの効果が期待されています[*3,4]。

こういった理由で、カカオポリフェノール(フラバノール)を多く含む高カカオチョコは、健康によいとして注目されているのです。実際に、高カカオチョコとそれ以外のチョコとでは以下のようにフラバノールの含有量に大きな差があったとする報告もあります[*5]。

チョコレート製品100gあたりのフラバノール量

・ダークチョコレート 63.5~651.1mg

・ミルクチョコレート 40.6mg

・ホワイトチョコレート 0mg

上記のように同じダークチョコレート(高カカオチョコ)であっても、フラバノールの含有量は製品によって大きく差がありますが、少なくともミルクチョコレートの1.5倍以上は含まれているということがわかります。

高カカオチョコは健康によい効果が期待されていると簡単に説明しましたが、ダイエットにはどのようにかかわってくるのでしょうか。

リグニンという食物繊維の作用

通常植物には、細胞壁の構成成分であるセルロースやヘミセルロースなどの食物繊維が含まれますが、チョコレートの原料であるカカオマス(カカオ豆をすりつぶしてペースト状にしたもの)の場合は、「リグニン」という食物繊維の含有量が高く、含んでいる食物繊維の半分以上を占めるという特徴があります[*6]。

リグニンは少し変わった食物繊維で、多くの食物繊維は多糖類であるのに対して、リグニンはポリフェノールが集まってできています。そのため、他の不溶性食物繊維(セルロースやヘミセルロース)よりも体内で消化されにくく、その約8割もの量が便に排出されるともいわれています[*4,7]。

そもそも不溶性食物繊維は、便のカサを増やすことで便を出しやすくするという性質を持っていますが、リグニンはさらにその効果が高い可能性があるというわけです。

市販の高カカオチョコレートは、製品によって差がありますが、100g当たり10g以上の食物繊維を含むことが多いようです[*8]。ちなみに、食物繊維豊富なイメージのあるゴボウの食物繊維は100g当たり5.7g(根 生)[*9]ですから、高カカオチョコはかなり多くの食物繊維を含んでいることになります。

ただし、食物繊維豊富だからといって、高カカオチョコを食べ過ぎるとカロリー過多になってしまうこともあるのでご注意を。

血糖値を上げにくい

食後などに血糖値が上昇すると分泌される「インスリン」というホルモンには、余ったエネルギーを脂肪として合成する働きがあります。そのため、ダイエット中は特に血糖値を急上昇させないほうがよいと考えられています。

血糖値を急上昇させるのは「糖質」です。たんぱく質や脂質も体内で消化されることで血糖値を上げますが、その変動は糖質よりも緩やかで、血糖値の上がりやすさは「糖質>たんぱく質>脂質」の順になっています[*10]。

高カカオチョコレートは普通の甘いミルクチョコレートよりも含まれる砂糖の量が少ないため、比較的血糖値を上げにくいと考えられます。さらに、カカオポリフェノールには血糖値の急上昇を抑える効果も期待されています[*11]。

また、チョコレートに豊富に含まれる脂質は消化に時間がかかるため、血糖値の上昇が緩やかなうえ下降もゆっくりです。つまり、高カカオチョコを食べ過ぎればカロリーの摂り過ぎで当然太りますが、上手に食べれば血糖値の変動を緩やかにすることで空腹をあまり感じずに済むのに役立ちます。 こうした点などから、高カカオチョコはダイエットに向いていると考えられるのです。

高カカオチョコレートでダイエットできるのか

実際、高カカオチョコレートでダイエットは成功するのでしょうか。

高カカオチョコレートを活用してダイエットを成功させたいなら「食事前に1~2かけ食べることでその後の食べ過ぎを防止する」という方法がおすすめです。 

脂質などの栄養素が小腸に入ると 、腸管から「GLP-1」というホルモンが分泌されますが[*12] 、このホルモンには、インスリン分泌の調整のほか、胃の動きを緩やかにすることで食後の高血糖を予防したり、脳の中枢に作用して食欲を抑えたりする働きがあるといわれています[*13]。

高カカオチョコには脂質が多く含まれるため、ご飯やパン・麺などの糖質を多く含む食品を摂取する前に食べると、こういった効果が期待できそうです。

ただし、チョコレートの原料であるカカオに多く含まれる脂質はたったの1gで約9kcalもある成分。カカオの割合が多ければ脂質の比率も高くなり、エネルギーも高くなります。

例えば、100gの高カカオチョコレートを食べると、それだけで平均的な活動量の成人女性の1日の脂質摂取目標量の2/3~丸々1日分を摂ることになってしまいます 。

そのため「食欲を抑えるためだから」といって大量に食べてしまっては本末転倒。1日の食事バランスや摂取エネルギーを考慮して、食べ過ぎないよう十分注意することが大切です。

ダイエット中のチョコレートの食べ方・注意点

早速チョコレートをダイエットに活用してみたいと思った人に向けて、ダイエット中のチョコレートの食べ方や注意点をお伝えします。

いくら健康によい成分を含むといっても、脂質が多いチョコレートは高エネルギー。食べ過ぎれば逆に太ってしまいます。「食事バランスガイド」では、1日の間食の目安を200kcal程度としているので、少なくともその範囲内で楽しむようにしましょう[*14]。ダイエット中であればその半分くらいまでを目標にするとよいですね。

太ってしまうというだけでなく、健康の面でも大量に食べるのは避けるのがよいでしょう。というのはチョコレートには、気管支拡張作用や利尿作用・興奮作用などがあるといわれている「テオブロミン」や「カフェイン」などの成分も含まれているためです。

これらが実際に体へどのくらい影響を与えるのかという点については個人差が大きいとされていますが、特に妊娠中や授乳中の女性や子供が大量に食べるのはお勧めできません。

また、ぜんそくや気管支炎などの持病がある場合は、これらの成分が悪影響を及ぼす可能性があるため、食べてもよいかどうか必ず医師に相談しましょう。

同じチョコレートでも、生チョコレートやミルクチョコレートはダイエットには向いていないため極力避けるとよいでしょう。

生チョコレートはチョコレートに生クリームなどを加えて固めたもので、砂糖も多く含まれています。ミルクチョコレートは高カカオチョコレートよりも砂糖が多く含まれており、カカオの含有量も低いため、健康効果があるとしても高カカオのものと比べて低いと考えられます。

前半でもお伝えしましたが、食べるタイミングは食事の前がおすすめです。
普通にお腹いっぱい食事をとった後にデザートとして食べると、その分摂取カロリーが余計に増えるだけになってしまうためです。

ポリフェノールは吸収されるスピードが速く、摂取後2時間ほどで抗酸化作用がピークに達し、その後消えていってしまうといわれています[*15-16] 。そのため一度にたくさん食べるよりも、少量ずつ複数回に分けて食べるほうがよいでしょう。

もしもうっかりチョコレートを食べ過ぎてしまったら、その後の食事では揚げ物やバター・生クリーム・オイルたっぷりの料理は避けて、摂取エネルギーを調整するようにしましょう。

ただし「全く何も食べない」などの極端な調整をすると血糖値の下がり過ぎがドカ食いを招いたり、栄養不足から筋肉量が減り代謝が落ちることにもなるので、適切な量の炭水化物とともにたんぱく質や野菜のおかずは減らさないで、いつも通り食べるのがおすすめです。

まとめ

ダイエットの大敵であるお菓子の中でも、高カカオチョコレートなら上手に活用すればダイエットに役立つ可能性があるということをお伝えしました。

さまざまな健康効果が期待されている高カカオチョコレートですが、脂質が多く含まれているためダイエット中の食べ過ぎはNG。食べると痩せるというものではないので、あくまでも主食・主菜・副菜の揃ったバランスのよい食事をとることを優先しましょう。そのうえで、「チョコレートが大好きでどうしても食べたい!」という場合には、この記事で紹介したような食べ方でとり入れてみてくださいね。

この記事の執筆者

猪坂みなみ先生(管理栄養士)

大学卒業後、大手食品メーカーにて商品企画や研究開発などに従事。ダイエットアドバイザー、料理研究家助手、医療ヘルスケアベンチャー企業の商品企画職等を経て、現在はLINEで気軽に取り組めるパーソナルダイエットプログラム「ダイエットナビ」の運営や、ヘルスケア領域の新規事業開発アドバイザリー、法人向けの健康経営サポート等を行う。「できない」自分を責めずに健康をキープできる方法を常に研究中。
◆Diet Solution Lab -ダイエットソリューションラボ- HP:https://diet.love--life.net/

(文:猪坂みなみ)

※画像はイメージです

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