*15:26JST ファンペップ Research Memo(6):「FPP005」は乾癬のほか、消化器系疾患への展開を見据えて開発を進める
■主要開発パイプラインの動向
4. FPP005(乾癬)
「FPP005」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとで、ファンペップ4881が創製したIL-23を標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IL-23は自己免疫疾患において主要な役割を担うTh17細胞を分化・安定化するサイトカインで、乾癬においてもIL-23により活性化されたTh17細胞が、IL-17AやTNF-αを含む炎症性サイトカインを産生することにより慢性的な炎症を引き起こす。乾癬の治療では、既存治療が効かないまたは重症例の患者にTNF-α、IL-17及びIL-23を阻害する抗体医薬品が使用されているが、IL-23は炎症性サイトカインの産生過程において、IL-17A及びTNF-αの上流に位置するため、維持投与期に投与間隔を3ヶ月まで広げても有効性が持続することが特徴となっている。
「FPP005」は、IL-23を標的タンパク質としていること、感染症ワクチンと同じ作用機序で自己の体内で抗体を誘導できることから、少ない投与回数で高い持続性を有することが期待されており、同社では2021年1月より前臨床試験を開始している。「FPP005」については今後、潰瘍性大腸炎等の消化器系疾患に広がっていく可能性がある。なお、抗IL-23抗体医薬品としては「ステラーラ®」「スキリージ®」「トレムフィア®」などがあり、市場規模は2019年の7,948百万米ドルから2023年には16,598百万米ドルと年率20%の高成長になるとの調査会社の予測※もある。潜在市場規模が大きいだけに、今後、開発が進展すれば大型のパートナー契約につながる可能性もあり、その動向が注目される。
※出所:Informa「Datamonitor Healthcare」(May 2020)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《NB》
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