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Tuesday, June 11, 2024

チョコで「味わう」谷川俊太郎さんの詩 活版印刷をヒントに誕生 - 毎日新聞

谷川俊太郎さんの「朝のリレー」が包み紙にも刻み込まれている=EYECON提供
谷川俊太郎さんの「朝のリレー」が包み紙にも刻み込まれている=EYECON提供

 カムチャツカの若者がきりんの夢を見ているとき――。

 食用インクじゃ味気ない。暗褐色の板に刻まれた文字が浮かび上がる。詩人・谷川俊太郎さん(92)の詩を、まるで昔ながらに活版印刷したかのようなチョコレートが、文学ファンの心をつかんでいる。

 甘くほろ苦い「詩」を作ろうと考えたのは、グラフィックデザイナーとして活動する益本タカオさん(45)。縦8センチ、横11・5センチのチョコレートに谷川さんの「朝のリレー」や「二十億光年の孤独」、詩人・萩原朔太郎の「月光と海月」を「印刷」した。

 益本さんは、平版印刷にはない、活版印刷が生み出す文字の立体感やデザインにひかれた。自分も「見たことのない印刷物を作りたい」と考え、思いついたのがチョコレートだった。

 文字や図柄が食用インクなどを用いて描かれたチョコレートはあるが、昔ながらの活版印刷のような文字にこだわった。文字を生み出す金属製の字型を3Dスキャンし、凹凸作りにこだわった。活版印刷の金型をもとに作製した型にチョコレートを流し込んで文字を刻み、チョコレートを包むアルミ箔(はく)にも金型を空押しした。

 「朝のリレー」は学校の教科書に採用されることも多く、子どもから大人までなじみがあると考えて谷川さんの事務所に打診すると、快諾してもらえたという。

谷川俊太郎さんの詩「朝のリレー」が「印刷」されたチョコレート=EYECON提供
谷川俊太郎さんの詩「朝のリレー」が「印刷」されたチョコレート=EYECON提供

 原料のカカオ豆からチョコレートになるまでを一気通貫で手がける「Bean to Bar(ビーン・トゥ・バー)チョコレート」を製造する「xocol(ショコル)」(東京都)に委託した。それぞれの商品で風味が異なり、豊かな香りや、あえて溶かさずに加工した砂糖のシャリッとした食感が特徴という。

 このほか、谷川さんの「水のたとえ」「心の色」などの詩の一節を水色の文字で印刷したホワイトチョコレートも販売している。

 「EYECON SHOP」のオンラインや実店舗で販売している。活版印刷から着想したチョコレートは各1400円。ホワイトチョコレートは1セット4枚入り800円(オンラインは1000円)。【松山文音】

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