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Monday, July 10, 2023

適度な運動が高血圧を改善する仕組みを解明国リハなど - MITテクノロジーレビュー

国立障害者リハビリテーションセンター、東京大学、循環器病研究センターなどの共同研究チームは、ラットを用いた実験とヒト成人を対象とした臨床試験で、適度な運動が高血圧改善をもたらすメカニズムを発見。頭部への物理的衝撃を高血圧者(ヒト)に適用すると、高血圧が改善することを世界で初めて明らかにした。

ラットで高血圧改善効果が示されている中速度(分速20メートル)走行では、前肢の着地時に頭部に約1Gの衝撃が生じることがこれまでの研究でかっている。そこで、研究チームは今回、麻酔した高血圧ラットの頭部に1Gの衝撃がリズミカルに加わるように、毎秒2回頭部を上下動させる実験を実施。すると、脳内の組織液(間質液)が動くことにより脳内の血圧調節中枢の細胞に力学的な刺激が加わり、血圧を上げるタンパク質(アンジオテンシン受容体)の発現量が低下し、血圧低下が生じることが分かった。

さらに、座面が上下動することで、1Gの上下方向の衝撃がヒトの頭部に加わるように設計された椅子を作成。1日30分間、1週間に3日、1カ月間搭乗すると、高血圧改善効果、交感神経活性抑制効果があり、搭乗期間の終了後も、約1カ月間は高血圧改善効果が持続することが分かった。

「適度な運動」の効果はこれまでに、高血圧改善に限らず、認知症、うつ病をはじめ多くの脳機能関連疾患の症状・障害の軽減・改善で、統計的に証明されている。今回の研究結果は、適度な運動による健康維持・増進効果において、運動時に頭部に加わる適度な衝撃が重要である可能性を世界で初めて示すものであり、寝たきりの高齢者や肢体不自由障害者にも適用可能な擬似運動治療法の開発につながる可能性がある。

研究論文は、ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリング(Nature Biomedical Engineering)に2023年7月6日付けで掲載された

(中條)

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