経済界、労働界、学識者の有志で構成する政策提言組織「令和国民会議」(令和臨調)は22日、発足1周年を受けて与野党党首との対話集会を東京都内で開いた。持続可能な社会のあり方や政治改革を巡り、岸田文雄首相(自民党総裁)ら5党の党首と意見を交わした。
令和臨調 2022年6月、経済界、労働界、学識者の有志で発足した政策提言組織。選挙制度や国と地方の関係を考える「統治構造」、社会の持続可能性を検討する「財政・社会保障」、人口減少や高齢社会を踏まえた「国土構想」の3部会がある。賛同した知事らの「知事連合」、市区町村長らによる「市区町村長(メイヤーズ)連合」、国会議員らでつくる「日本社会と民主主義の持続可能性を考える超党派会議」も発足し、議論を重ねている。
◆「構造的な賃上げにつなげていく」と首相
共同代表の茂木友三郎キッコーマン名誉会長は冒頭、「政治や政権公約のあり方を巡り、令和臨調と政党が対話を開始するキックオフの日だ」と大会の意義を訴えた。
首相は人口減少が国家的な課題だと指摘し「次元の異なる少子化対策とデジタル社会への変革を車の両輪として経済社会を変えていく」と述べた。人への投資の重要性を強調した上で「構造的な賃上げにつなげていく」と語った。
立憲民主党の泉健太代表は「LGBT(性的少数者)や選択的夫婦別姓などの多様性を認めなければ、国の活力が失われる」と指摘。多文化共生施策も含む人への投資を進め、賃上げや介護・保育業界の待遇を改善する必要性を語った。
大会には、公明党の山口那津男代表、日本維新の会の馬場伸幸代表、国民民主党の玉木雄一郎代表も出席。共産党などその他の政党は招待されなかった。(市川千晴、柚木まり)
◆首相「外国人との共生社会を目指す」
令和臨調と与野党5党の党首が持続可能な社会と政治のあり方などについて討論した22日の発足1周年大会で、各党首は目指す社会像や優先する政策の主張を通じ、各党の立ち位置を明確にした。
首相は人口減少への対応に関し「少子化対策は効果が出るまで時間を要する。社会が適応する動きも並行して進める」とし、外国人との共生社会を目指すとした。また、「真剣な議論も重要だが、結果を出すことが政治では重要だ」と述べ、歴代政権が先送りしてきた防衛費増額や少子化対策の抜本強化を進めたと政権の実績をアピールした。
立憲民主党の泉健太代表は「中道リベラル」の立ち位置に何度も触れ、「日本の活力を上げるために、人と地方を大事にする。庶民の所得をしっかり上げたい」と訴えた。また、若者や女性、外国人労働者ら多様な価値観を重視する姿勢を強調した。
公明党の山口那津男代表は「安定した政権基盤が重要だ。意見が違っても議論し合意をつくる知恵がある」と述べ、選挙協力を巡って指摘される自公の亀裂を否定した。
日本維新の会の馬場伸幸代表は、同党が主張する身を切る改革が民主主義の機能を低下させるとの指摘に対し「衆院と参院の役割分担や、二院制が必要か、国会の制度設計を根本から考え直す時期が来ている」と訴えた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は賃上げを継続的に訴えてきたと強調するとともに、「自分の国は自分で守ろう」と語り、防衛力強化だけでなく食料自給率やエネルギー自給率を確保する必要があるとした。(市川千晴、小椋由紀子)
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