短期金利はマイナス0.1%、長期金利は0%程度に抑える金融緩和策です。
ただ、日銀は長期金利を抑え込むために国債を大量に購入していて、市場機能への副作用も指摘されています。
そこで、長期金利はプラスマイナス0.5%までの変動を許容しています。
今回の決定では、市場の動向に応じてこの上限0.5%を超えることも認めています。
これまで以上に金利の上昇を許容し柔軟な対応を可能にしているわけです。
Q.この結果をどう見ますか。
A.今回、日銀は物価の見通しを上方修正しました。
これは最近の物価の高止まりを踏まえた対応とみられます。
植田総裁は先月、金融政策の枠組みの変更は「物価が上昇する合理的な確信が持てれば、十分な理由になる」と述べていますが、緩和の枠組み自体は維持したことから、まだ安定的な物価上昇には確信を持つことができていないと見られます。
ただ、物価が上昇すれば金利も上がる可能性もあります。
日銀は国債を購入して金利上昇を抑える手法を用いていますが、今の運用では長期金利が0.5%を超えそうになると国債の大量購入を迫られるなど、負担になる面もあります。
そこで、物価や金利の上昇に先んじて柔軟な対応を可能にし、金融緩和策の持続性を高めたい狙いがあるとみられます。
Q.市場の受け止めはどうでしょうか。
A.金利の上昇を許容するという点が強く意識され、荒い取り引きとなっています。
外国為替市場では、今後、金利が上昇し、海外との金利差が縮小するという見方から円を買う動きが強まっていて、円高ドル安が進んでいます。
また、株式市場では、金利上昇による景気への影響を懸念して株価は値下がりしています。
債券市場でも長期金利の上昇の動きが見られます。
しばらく状況を見極める必要がありますが、仮に円高や金利上昇が続けば、企業は輸出と輸入を通じてプラス・マイナスさまざまな影響が出てくることが考えられます。
また、貸し出し金利や住宅ローンなどが上昇する可能性もあります。
Q.今後の展開、注目点は?
A.最大の注目点は、日銀がいつ金融緩和の枠組み自体を転換し、正常化に向かうか、ということです。
欧米など世界各国が利上げを続ける一方、金融緩和策の維持を続ける日本は特異な状況です。
今回の見直しは、金融政策の正常化への第一歩、地ならしの意図があるという見方も出てくると予想されます。
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