国内の新興企業が開発を進める新技術を使った新型コロナウイルスワクチンについて、動物実験で感染を防ぐ中和抗体の量が1年間維持されたと医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪)などのチームが発表した。実用化すれば接種間隔を延ばせる可能性がある。論文が国際科学誌に掲載された。
このワクチンは、米ファイザーや米モデルナが実用化したメッセンジャーRNAワクチンに改良を加えた「レプリコン(自己増殖型)」と呼ばれるタイプだ。
新興企業VLPセラピューティクス・ジャパン(東京)が現在、実用化に向けて治験を実施している。新型コロナの変異株に加え、未知の感染症への対応も視野に入れている。
レプリコンワクチンは有効成分が体内で自己増殖するため、接種量は既存のワクチンの100分の1から10分の1ほどで済み、免疫が長く続くとされる。
チームは、人間と体の構造が似ているカニクイザルにこのワクチンを打ち、中和抗体の量が1年間、十分に保たれていることを確かめた。既存のワクチンでは数か月から半年程度で低下する。チームの山本拓也・同研究所難病・免疫ゲノム研究センター長は「年1回接種で効果があるようなワクチンにしたい」と話す。
杉浦
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