聞き手/大塚 葉(日経BP総合研究所 上席研究員)
長期ビジョンを策定し、35年前から取り組んできた環境志向を強化した。植物由来の「ボタニカルインキ」を開発するなど、サステナビリティ経営を推進する。
2021年にサステナビリティ経営の長期ビジョンを策定しました。
上野 吉昭(うえの・よしあき)
サカタインクス 代表取締役 社長執行役員
1961年大阪府生まれ。85年京都工芸繊維大学繊維学部卒業後、阪田商会(現サカタインクス)入社。2014年取締役研究開発本部長委嘱、18年同執行役員、19年同常務執行役員を経て21年より現職(写真:山本 尚侍)
上野 吉昭 氏(以下、敬称略) 1896年に大阪で創業して127年の歴史を持つ当社は、新聞・書籍や製品パッケージの印刷インキ、デジタル機器の液晶パネルなどに使う機能性材料が事業の主体です。特に環境配慮型製品や高付加価値製品が強みで、米インキメーカー買収などで海外でも事業基盤を広げてきました。現在は世界の60を超える国・地域で販売を展開しています。
1987年にサカタインクスに社名変更した際、ビジネステーマや企業指針、プロミスなどを「マインド イン マインド」と定め、ステークホルダーに明示しました。環境志向や社会的協調性を重視し、「国際協調の精神を尊重します」などのプロミスは今のESG的な思考にも合致しています。さらに新規事業開発を進めながらサステナビリティ経営を追求すべく、長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」を策定しました。
サステナビリティ経営の具体的な施策は、どのようなものですか。
上野 長期ビジョンでは5つのマテリアリティ(重要課題)に、「持続可能な地球環境を維持するための活動」「安心・安全な製品の供給」「研究開発・技術力の強化」「コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスの強化」「人権の尊重とダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進」を掲げました。私は入社以来研究開発に携わり、お客様のニーズを探る立場でした。そこで、「社会の課題解決になる製品の開発が、最も社会のニーズに応えられる」と確信して研究開発方針を決めました。さらに、当社のサプライヤーやお客様を含めたサステナビリティ経営を推進すべく、「ESG推進部」を2021年10月に発足しました。
当社はインキに含まれる固形分の一部を従来の石油由来材料から植物由来材料に変えた「ボタニカルインキ」を開発するなど環境志向を強め、「環境のサカタ」をうたってきました。植物由来インキで印刷したものは、焼却してもCO₂排出量の削減につながります。22年2月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同を表明しました。
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