英語の「Transition (トランジション)」は、「移行」を意味する言葉。持続可能な社会に向けて、地球環境を維持しつつビジネスを両立させるようにトランジション(移行)することが、今求められています。
ロフトワークでは、トランジションに必要なのは、社会、経済、自然環境と事業活動をつなげる長期的な“ビジョン”を描き、社内外と対話・協働を通じて実装につなげられるリーダーだと考え、次世代型のリーダーの育成を目指す「Transition Leaders Program」*を開講しました。
プログラムでは、2015年にカーネギーメロン大学デザイン学部の研究者たちによって提唱された、持続可能な未来に向けて、社会変革を促すデザインアプローチである「トランジションデザイン」をベースに、講義とワークショップを開催。選考を経て選ばれた社会人30名が参加しました。
今回の展示では、2023年1月14日(土)から3月4日(土)まで、1日7時間・全8回にわたり行われた、講義とワークショップの成果物を展示します。
*経済産業省令和4年度「大企業等人材による新規事業創造促進事業(創造性リカレント教育を通じた新規事業創造促進事業)」の一環として実施。
トランジションデザイン(Transition Design)とは?
トランジションデザインとは、21世紀の社会が直面する気候変動、資源枯渇、伝染病のパンデミックなどの複雑性の高い地球規模の課題に対処するために、長期的な未来ビジョンを思い描き、ボトムアップの様々な活動を結集することで持続可能な社会への移行を促すための手法として研究が進んでいる、最新のデザインアプローチです。2015年、カーネギーメロン大学デザイン学部が、地球規模の巨大な問題に対して、社会規模の価値観の移行をデザインする理論として提唱しました。
- 思考と試行の跡をひらく。30名が挑んだ「トランジションデザイン」の学び
新しいデザインアプローチである「トランジションデザイン」は、こうやると成功するという手法がまだ確立していません。また、特に企業実務への応用はまだ数が少なく、Webで検索をしても実践例や実態がわかりづらい状況です。
本展示では、プログラム内で行われた「トランジションデザイン」をベースにしたプロセスと成果物を、参加者が苦戦した点や、試行錯誤、発見や驚きの軌跡がわかる形で、一般にひらきます。
「トランジションデザイン」は複合的かつ学際的なデザインアプローチであるため、一見するとプロセスが複雑で何が生まれたのか、その場にいないとわかりづらいかもしれません。しかし、よく見るとさまざまなバックグラウンドを持つ人々が意見を交わし、協働した道筋が浮き上がってくる面白さを発見できるはずです。アイデアの種がたくさん埋まっている、現在進行中の研究室にくるつもりで遊びにきてください。
みなさんと一緒に、ありたい未来に向けてどうトランジションしていくのかを考え、未来をデザインする仲間が増える機会になることを願います。
- 展示概要
内容:本展示では、トランジションデザインのアプローチを用いて、様々な業界の社会人30名が持続可能な社会への移行を目指して取り組んだ「Transition Leaders Program」の成果とそのプロセスを公開いたします。
チームごとの5つのテーマに対し、過去から現在、そして未来までの変遷を紐解き、移行のための生態系を描く過程をご紹介。この展示を通して、様々な業界の社会人30名がどのような未来を描き、そしてその未来のために個人、企業、そして社会としてどのような一歩を歩もうとしているのか、その思考と試行の跡をご覧ください。
開催日: 2023年3月20日(月)、21日(火・祝)、22日(水)
時間:10:00-20:00
場所: SHIBUYA QWS内 (東京都渋谷区渋谷2丁目24−12 渋谷スクランブルスクエア15F)
入場料: 無料
詳細・お申し込み: https://loftwork.com/jp/event/20230320_tlp-lab
- 企画チームからのメッセージ
不確実性の高く、誰もが先の見えない世界において、未来と主体的に向き合いながら「ありたい未来」を描いていく重要性やそのためのアプローチについて、関心がある方はぜひ本展示にご来場ください" ーー
ロフトワークシニアディレクター 伊藤望- 「Transition Leaders Program」について
「Transition Leaders Program」は、社会変革を促すための「未来構想力」と「事業実装力」を習得し、企業内でビジョンを起点に事業創出を行っていく人材教育プログラムとして、2023年1月14日(土)から3月4日(土)まで毎週土曜日に全8回(各回7時間)開催されました。
https://awrd.com/award/transition-leaders
テーマ |
講義講師 |
ワーク | 主な手法 | |
DAY1 | トランジションデザインのWhat/Why/How |
岩渕正樹、峯村昇吾 | チームに分かれ、解決した課題テーマを決める |
|
DAY2 | 解くべき問題を定める | 水野大二郎 | 捉え難い複雑な社会課題(Wicked Problem)を構造化し、介入点をみつける | ウィキッドプロブレムマップ |
DAY3 | 解くべき問題の歴史を遡る | 木村宰、松沢裕作 |
長いタイムスパンの社会移行を分析する手法MLP(Multi – Level perspective)を習得する | MLP(Multi-Level Perspective) |
DAY4 | 理想の未来を描く | 樋口恭介 | 個人視点と社会視点を交えて、トランジションの先にある北極星を描く | SFプロトタイピング |
DAY5 | 理想までの道筋を設計する | 加藤有也 | ロジックモデルを作成して理想までの道筋を可視化する | ロジックモデル |
DAY6 | 共創型事業の現場を体感し、トレースする | 井上彩、松下由樹 | 共創型事業の現場を体感し、自分たちのビジネスモデルのヒントを見つける | フィールドワーク |
DAY7 | 共創によるエコシステムを描く |
上平崇仁 | ロジックモデルをチームで一つに統合し、エコシステムマップを作る |
エコシステムマップ |
DAY8 | 最終発表 |
ビジネスのエコシステムマップを元に、描いた理想の未来へどのようにトランジションしていきたいかを各チームで発表 |
プログラム参加者の皆さん
講師(プログラム順)
岩渕正樹(JPモルガン・チェース銀行/デザイン・フューチャリスト)
峯村昇吾(造形構想株式会社代表/株式会社FABRIC TOKYO サービスデザイナー)
水野大二郎(京都工芸繊維大学 未来デザイン・工学機構 副機構長 /慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特別招聘教授)
木村宰(一般財団法人 電力中央研究所 社会経済研究所 上席研究員)
松沢裕作 (慶應義塾大学経済学部 教授)
樋口恭介(SF小説家)
加藤有也(一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)事業部 インパクトオフィサー日本インパクト投資2号ファンド(通称:はたらくFUND)ディレクター)
井上彩(株式会社飛騨の森でクマは踊る 取締役 CMO)
松山由樹(株式会社飛騨の森でクマは踊る 森で事業部 森の翻訳者)
上平崇仁(デザイン研究者 /専修大学, 教授)
株式会社ロフトワーク プログラム企画チーム
伊藤望|シニアディレクター(全体統括)
古田希生|クリエイティブディレクター(プロジェクトマネージャー)
谷嘉偉|クリエイティブディレクター(プログラム設計:未来構想力)
飯田隼矢|クリエイティブディレクター(プログラム設計:事業構想力)
中圓尾岳大|プロデューサー
からの記事と詳細 ( 持続可能な社会に向けてビジネスを移行する新しいデザイン手法 ... - PR TIMES )
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