大阪や北海道など9道府県の知事選が告示され、統一地方選が始まった。道府県議と市区町村の首長、議員と合わせて全国で1000近い選挙があり、4月9日と23日に投票が行われる。
知事選は、与野党対決や相乗り、保守分裂など、さまざまな構図となっている。だが、どの自治体にも共通する課題は、人口減少と高齢化への対応である。
政府が「地方創生」を掲げて10年近くになるが、有効な手立ては見いだせていない。地域を問わず、地元の社会を持続するための取り組みが急務だ。
過疎地では、学校や病院などの公共施設や社会インフラをどのように維持するか、知恵や工夫が求められる。都市部でも今後、高齢者人口の増加が見込まれ、介護施設・サービスの不足が大きな問題となる。
自治体は限られた予算の中、民意を集約しなければならない。首長の指導力に加え、住民の幅広い声を吸い上げる地方議会の役割がますます重要になっている。
新型コロナウイルス対策では、ワクチン接種や医療体制の整備などで地域ごとに差が出た。自治体の日々の仕事ぶりが、自分たちの生活を左右すると実感した人も多いだろう。
にもかかわらず、近年、地方自治への関心は低下する一方だ。
前回2019年の統一選で、道府県議選の平均投票率は44・02%と過去最低を更新し、投票率が高い傾向にあった町村議選も初めて60%を割り込んだ。危機的な状況となっている。
議員のなり手不足も深刻だ。無投票当選の割合は町村議選で23・3%と過去最高だった。女性や若者ら多様な人材が、地方政治の場で活躍できる環境整備を進めなければならない。
関心が薄れれば、問題のある団体が地方議会に浸透しかねない。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体が、伝統的な家族観に基づく家庭教育を支援する条例の制定などを議員に働きかけていたことも明らかになっている。
自分たちの地域のことは自分たちで決めるという自治の精神は、民主主義の根幹である。生活に直結した最も身近な選挙を、地域の将来像を考える機会にしたい。
からの記事と詳細 ( 社説:人口減少下の統一選 地域の持続性考える機に - 毎日新聞 )
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