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Thursday, March 2, 2023

インドがついに中国を抜き人口トップに躍り出た - 論座

 2022年末に、インドの人口は14億1700万人と中国の14億1200万人を上回った。しかも、インドの人口構成は若年層が多く、当面は人口増加が続くと見られていて、2050年には16億人を超えるという推計も出ている。

シーク教の寺院で祈りを捧げる人々=2022年11月12日、インドの首都ニューデリー、石原孝撮影拡大インドの首都ニューデリーのシーク教寺院で祈りを捧げる人々=2022年11月

GDPでも2050年にはインドが米国を抜くか

 プライス・ウオーターハウス・クーパーズ(PwC)の調査レポート「2050年の世界」によると、2016年~2050年の年平均実質成長率でトップはベトナムの5.0%だが、インドは第2位で4.8%を達成するとされている。その結果、2050年のインドの購買力平価(PPP)ベースのGDPは44兆1280億USドルとアメリカ(34兆1020億USドル)を抜いて世界第2位になるとされている。トップは中国で58兆4990億USドルとなっている。

 2021年のインドの経済成長率は8.681%と大国の中では最も高いグループに入っている。ちなみに、中国の同年の成長率は8.080%とインドのそれを下回っているのだ。同年のアメリカの成長率は5.671%、日本のそれは1.657%となっている。

「世界の経済力は先進国から新興国へシフト」

 PwCのチーフエコノミストであるジョン・ホークスワース(John Hawksworth)は次のようにコメントしている。「世界の経済力は先進国からアジアやその他地域の新興国へ向けたシフトが引き続きみられるでしょう。E7(主要新興7カ国=ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、ロシア、トルコ)の世界GDPにおけるシェアは2050年までに約50%まで上昇する一方で、G7のシェアはわずか20%強まで低下する可能性があります。」

 その結果、2050年のPPPベースのGDPの予測では、トップが中国、2位がインド、5位がブラジル、6位がロシア、7位がメキシコ、11位がトルコとE7の国々が上位を占めることになるというのだ。2050年、アメリカは3位で日本は8位となっている。G7の他国イギリスは10位、フランスは12位、ドイツは9位、イタリアは21位、カナダは22位とE7の国々が台頭し、G7は大きくシェアを落とすという構図なのだ。

 前述したPwCの2016年~2050年の年平均実質GDPの成長率のトップファイブは、ベトナム・インド・バングラダッシュ・パキスタン・フィリピンといずれもアジアの国々。E7の台頭はアジアの国々の台頭と平仄を合わせて進行するという事なのだろう。21世紀は「アジアの世紀」だとも言いえるのだろう。2050年のPPPベースのGDPのトップテンのうち、アジアの国々は、中国・インド・インドネシア・日本と4カ国が占めている。しかも、トップファイブの内3カ国(中国・インド・インドネシア)がアジアの国々で、少なくとも、21世紀前半はアジアの世紀になっていくのだろう。

2100年にはアフリカ勢が人口大国に

 さらに、21世紀後半までを見てみると、サハラ以南のアフリカの国々の台頭が予測されているのだ。国連が2019年に発表した調査によると2100年には世界の人口は現在の約78億人から109億人に増加すると予測されている。その予測によると、トップテンのうち5カ国がアフリカ諸国なのだ。1位はインドで10億9000万人だが、2位はナイジェリア(7億9100万人)、6位がコンゴ民主共和国(2億4600万人)、8位はエチオピア(1億9900万人)、9位はエジプト(1億9900万人)、そして10位がタンザニア(1億8600万人)となっている。

 こうしたアフリカ諸国の中でも、ナイジェリアの人口は現在の3倍以上までに増加し、インドに次ぐ人口大国になるとされている。つまり、21世紀前半は「アジアの世記」だが、21世紀後半は「アフリカの世紀」となる可能性が高いと思われる。勿論、これは人口増加という観点から見た構図。こうした状況で経済のマネジメントが適切に行われるがどうかが大きな課題となってくるのだろう。

人口が2億1千万を超えるナイジェリアのラゴスにある市場は、買い物客らでごった返していた=2019年6月、中野智明氏撮影拡大ナイジェリアのラゴスにある市場は買い物客らでごった返していた=2019年6月、中野智明氏撮影

適切な経済運営のカギ握る民主国は育つか

 現在のアフリカ諸国には独裁国家が多い。例えば、エジプトはアブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領の独裁体制。カメルーンもポール・ビア大統領の政治は独裁的な側面が強いとされている。中央アフリカのチャド共和国もイドリス・デビ大統領が1990年から大統領の座に居続ける独裁国家。世界有数の腐敗大国でもあると言われている。赤道ギニアも1979年以来、テオドロ・オビアン・ウゲマ大統領が居座っている独裁国家。また、エジプトの南方にあるスーダン共和国のオマル・アルリパシース大統領は、ワシントンポスト紙によって過去には「世界最悪の独裁者」とされた大統領だ。

 もっとも、民主主義国家も少なからず存在することも事実だ。例えばモーリシャス共和国は議院内閣制をとる立憲国家。国家元首である大統領は国民議会によって選出され、任期は5年。3選は禁止されている。その他にも、南アフリカ共和国はアフリカでも数少ない複数政党制が機能する民主主義国家のひとつ。元首たる大統領は国民議会の採決によって選出される。現在の大統領はシリル・ラマボーザ氏。副大統領、アフリカ連合議長などを経て、大統領に選出されている。今後こうした民主主義国家が順調に育っていけるかどうかが注目されるところなのだろう。

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