ロシアによるウクライナ侵略で、2022年の日本企業は地政学リスクを再認識する1年となった。米国の金融引き締めをきっかけに、外国為替市場では、円安・ドル高が加速し、32年ぶりに1ドル=150円をつけた。各社トップに今年を振り返ってもらい、戦略を聞いた。
――日本銀行が金利政策を修正し、長期金利の変動幅を、プラスマイナス0・5%に拡大した。
「政策修正前の金融市場はぎくしゃくしていた。債券市場はいびつとなり、社債市場でも発行を手控える動きがあった。政策修正を受け、企業は社債を安心して発行できる。金融緩和を持続する効果が出てくる。
今回の修正を利上げとみる向きはあるが、そう思わない。マイナス金利政策が続いているためだ。日銀は、利回り曲線は柔軟に調整する姿勢を見せていた。
我々も、保有する国債の持ち分を調整していた。マイナス金利は解除されず、我々の収益に与える影響は、ほとんどない。政策修正後も、預貸差(融資の利ざや)は出てこない。国債運用の収益は一定程度押し上げられるが、限定的だ」
――4月8日に任期満了を迎える日銀の黒田
「市場との対話がとても重要になる。(投資家が)予見できるようにすることは一番大きなカギだ。国内では、金利の変動をほぼ経験せずに暮らしてきた人も多い。対話がなければ、金利水準が急騰する恐れもある」
――来年の国内外の経済見通しを。
「米国経済は消費に陰りが見られる。景気は悪化するだろう。中国も欧州も低迷するだろう。コロナ禍からの経済回復が続く日本では、活動が活発化しており、景気悪化は想定していない。
波乱要因は米国だ。米国の政策金利は年明けまで0%だった。1年で5%近辺まで上がった。低格付けの企業などでは、資金繰りが悪化する恐れがある。株価に影響する恐れがある」
――みずほフィナンシャルグループの1年の振り返りと来年の抱負を。
「収益は計画に対して順調だ。ただ、他の2メガバンクグループと比較して、できていることとできていないことを見つめ直し、課題を冷静に振り返る必要がある。
システム障害については、金融庁に提出した業務改善計画に盛り込んだ再発防止策を、9月までに講じた。定着を図っている。ただ、障害は完全にはなくならない。(発生時の)対応力を上げることが重要で、それは実際に上がってきたと考えている」
――国内の店舗戦略は。
「構造改革で拠点数を約130削減した。ただ、店舗を持っていることは我々の強みだ。デジタル時代だから店舗の削減を急ぐという話でもない。従来通りに午前9時から午後3時までの営業時間では、働く人はコンサル(相談)のサービスを受けられない。営業時間拡大など、(柔軟な)店舗形態を検討できると考えている」
――海外事業については。
「米州でのビジネスをもう一段、拡大したい。アジア諸国への浸透も重要だ。欧州ビジネスは選択と集中が必要だ」
――NISA(少額投資非課税制度)が拡充された。
「(今年出資した)楽天証券で、投資信託積み立ての月額設定金額が大きく増えたように、(人々の)投資に対するマインド(意欲)は変わってきている。生涯の投資総額を1800万円までとするNISAの拡大は、『貯蓄から投資』の流れを大きく加速する。対面営業でコンサル業務を行う店舗の強みを発揮できる」
からの記事と詳細 ( 店舗は我々の強み、営業時間拡大も検討できる…みずほ ... - 読売新聞オンライン )
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