塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、このたび、変形性膝関節症に対する疼痛治療薬候補品Resiniferatoxin注射剤の国内導入に関するライセンス契約をGrünenthal GmbH(本社:ドイツ アーヘン、CEO:Gabriel Baertschi、以下「Grünenthal社」)との間で締結しましたので、お知らせいたします。
Grünenthal社によって開発されているResiniferatoxin注射剤は、イオンチャネルであるTRPV1に対する強力なアゴニスト作用によって、膝に投射する感覚神経を脱感作させ、痛みを抑制します。これまでの臨床試験において、プラセボ群と比べ有意な鎮痛効果が1回の投与で約半年間持続することが確認されており、現在、中等度から重度の変形性膝関節症の患者を対象とした日本を含むグローバルPhase 3試験をGrünenthal社が実施中です。
本契約の締結により、当社はResiniferatoxin注射剤の日本における独占的販売権を獲得します。開発、申請および製造はGrünenthal社が行い、当社は国内における製造販売承認を取得後、製品の流通、販売等を担います。当社は、契約締結に伴う一時金(75百万ドル)と今後の開発進展や承認の取得、製品上市後の販売額に応じたマイルストンの合計として500百万ドル超をGrünenthal社に支払うとともに、販売が一定額を超えた場合は販売額に応じたロイヤリティーを支払います。
変形性膝関節症は膝の関節にある軟骨が少しずつすり減り、関節内に炎症が生じることによって、次第に膝の関節が変形していく高齢者に多い疾患です。変形性膝関節症によって生じる痛みは、運動療法に加えて全身性非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の服用やヒアルロン酸等の関節腔内注射、手術などによって治療されます。様々な治療法があるにも関わらず、症状の改善効果や効果の持続性、日常生活の改善には多くの課題が存在し、治療効果とアドヒアランスに優れた新たな治療方法が求められています。
塩野義製薬は、中期経営計画STS2030において「感染症」「精神・神経疾患」「疼痛」を重点疾患に掲げ、革新的なヘルスケアソリューションを提供するための取り組みを進めております。当社は、Grünenthal社との提携を通じて、トータルケアによる健康寿命延伸の実現のために必要な新たな治療選択肢を患者さまにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。
なお、本件が2023年3月期の業績に与える影響は軽微です。
以上
【Grünenthal社について】
Grünenthal社は疼痛および関連疾患を重点領域としており、世界中の患者さまに革新的な治療法と最先端の技術を提供することで、世界中の人々の生活の質を向上し、痛みのない世界を実現するために活動している製薬企業です。本社はドイツのアーヘンにあり、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、米国など29か国に関連会社を持っています。詳細はGrünenthal社のホームページをご覧ください。
【Resiniferatoxin注射剤について】
Resiniferatoxin注射剤は、変形性膝関節症患者の痛みの治療のために開発されたresiniferatoxinの関節内注射剤です。Resiniferatoxinは、非常に強力なTransient Receptor Potential Vanilloid 1(TRPV1)のアゴニストであり、膝に投射する感覚神経の強い脱感作を起こし、感覚神経が膝から退縮することが作用機序となります。Resiniferatoxinの投与によって、長期にわたる痛みの緩和とQOLの向上が期待されています。
【変形性膝関節症について】
変形性膝関節症は、関節の組織が時間の経過とともに破壊され、激しい痛みを生じる病気であり、65歳以上の人々に多く見られる関節疾患です。一般的な症状には、関節の痛み、こわばり、腫れ、関節の動きの変化、関節が緩んでいるかのような不安定な感覚などが挙げられます。その原因は完全には解明されていませんが、年齢、性別、代謝、関節損傷など、共通する要因が明らかになりつつあります。治療効果とアドヒアランスが高い治療薬はなく、大きなアンメットメディカルニーズが残されています。
[お問合せ先]
塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:
https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.
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