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Monday, May 2, 2022

持続可能な企業へ!令和4年度SHIFT事業とは|使いたい補助金・助成金・給付金があるなら補助金ポータル - hojyokin-portal.jp

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「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ」を目標に掲げ、政府はさまざまな事業や支援を実施してきました。それに伴い、環境問題は企業にとっても大きな課題の一つとなりました。

帝国データバンクは2021年、温室効果ガス排出抑制に関する企業の見解についての調査結果を公表しました。それによると「温室効果ガスの排出抑制に取り組んでいる」と答えた企業は82.6%だった一方、2050年カーボンニュートラル目標に対しては「達成は困難」とした企業が43.4%と半数近くにのぼります。
参考:帝国データバンク 温室効果ガス排出抑制に対する企業の意識調査

脱炭素に取り組む企業を支援するため、環境省はSHIFT事業を実施しています。これは計画策定支援事業と設備更新補助事業からなる補助金制度で、それぞれ要件も違います。各対象事業や要件についてまとめました。

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環境問題への姿勢は企業評価に直結する

SDGsや「サスティナブル」な価値観の広がりによって、消費者の意識も変化しつつあります。株式会社エンゲージメント・ファーストの調査では、「地球温暖化問題に対して積極的に活動する企業」に対して、65%の回答者が「とても好印象」「好印象」と答えています。
参考:株式会社エンゲージメント・ファースト 消費者による地球温暖化問題と購買に対する意識調査

温室効果ガスの削減をはじめとした環境問題に対する取り組みは、企業そのものへの評価に直結するようになりました。温室効果ガスの削減に積極的に取り組むことは、企業の「持続可能性」にも大きな影響を及ぼすのです。

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SHIFT事業とは

SHIFTとは「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業 (Support for High-efficiency Installations for Facilitieswith Targets)」の略称で、一般社団法人 温室効果ガス審査協会が実施する事業です。中長期の温室効果ガス削減目標の達成に貢献する事業に対し、補助金が支払われます。その概要や補助対象事業などをまとめました。

【概要】
本補助事業は、中小企業等を対象とした脱炭素化促進計画策定支援事業 (計画策定支援事業)と、民間企業等を対象とする設備更新補助事業 (設備更新補助事業) とで構成されます。

いずれもCO2排出量の削減や脱炭素社会の実現を目指すものですが、補助の対象や補助額等は異なります。まずはそのそれぞれの目的と関係性からみていきましょう。

計画策定支援事業・設備更新補助事業の目的と関係性

SHIFT事業は、工場・事業場における CO2 排出量を効率的に大幅削減することを目的としています。これを達成するため、2つの事業には以下のようにそれぞれの目的が定められています。

【計画策定支援事業】
中小企業等が工場や事業場のエネルギー使用状況や CO2 排出状況等の診断・評価を基にした専門の支援機関からの支援を受け、脱炭素化の促進に向けた実施計画を策定すること

【設備更新補助事業】
脱炭素化促進計画に基づいた設備の更新に対して補助を行うことで、中長期の温室効果ガス削減目標の達成に貢献し、脱炭素社会への移行を推進すること

計画策定支援事業の実施後、その成果に基づいて実際に設備導入を行う際には、設備更新補助事業の交付を申請することが可能です (優先採択枠の適用対象となります)。

計画策定支援事業

それでは、各事業の詳細について確認しましょう。計画策定支援事業の対象や補助金額は、次のとおりです。

対象者

計画策定支援事業の対象となるのは、以下の①~⑩の事業者のうち、直近2期の決算において連続の債務超過がなく、適切な管理体制及び処理能力を有する者です。

① 個人、個人事業主を除く中小企業者
② 独立行政法人
③ 地方独立行政法人
④ 国立大学法人、公立大学法人及び学校法人
⑤ 社会福祉法法人
⑥ 医療法人
⑦ 協同組合等
⑧ 一般社団法人・一般財団法人及び公益社団法人・公益財団法人
⑨ その他環境大臣の承認を得て協会が適当と認める者
⑩ 地方公共団体(建物を共同所有する共同申請者に限る)

交付を申請できるのは、本事業を実施する工場・事業場及びエネルギー使用設備機器の所有者のみです。工場・事業場の所有者と、エネルギー使用設備機器の所有者が異なる場合は、両者が共同申請をする必要があります。なお、申請者に個人が含まれる場合は申請できません。

対象事業

工場・事業場は、最大で5つまで申請可能です。各工場・事業場は以下の①~③をすべて満たす必要があります。

① 年間CO2排出量が50トン以上3,000トン未満の工場・事業場であること
② 令和3年度二酸化炭素炭素排出抑制対策事業費等補助金(脱炭素化促進計画策定支援事業)を実施した工場・事業場でないこと
③ 事業実施後、事業報告の対象期間中に策定したCO2削減対策を1つ以上実施すること

申請は先着順で、100件程度が採択される予定です。

事業の流れ

計画策定支援事業の流れは、以下のとおりです。

出典:令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 公募要領 

① 【支援機関窓口】支援機関の公募および採択を実施
② 【環境省】採択された支援機関リストをウェブサイトにて公開
③ 【事業者】支援機関リストの中から支援機関を選定し、支援内容の合意を行う
④ 【事業者】協会に交付申請を行い、交付の決定を受ける
⑤ 【事業者】支援機関から支援を受ける【支援機関】削減余地診断結果に基づいた診断報告書および実施計画書を作成
⑥ 【支援機関窓口】診断報告書と実施計画書を確認し、診断報告書確認証と実施計画書確認証を支援機関に返却する【支援機関】診断報告書確認証と実施計画書確認証を参照して診断報告書と実施計画書を完成させ、事業者に提出
⑦ 【支援機関・事業者】診断結果報告会と実施計画報告会を開催する
⑧ 【事業者】請求書に基づき支援費用を支払う
⑨ 【事業者】協会に完了実績報告書を提出し、補助金の支払を受ける
⑩ 【事業者】補助事業の完了日の属する年度の終了後3年間、年度毎に1年間の対策の実施状況およびCO2排出量の実績等について業報告書を提出する

補助対象経費

補助対象経費(業務費、一般管理費)は、以下のとおりです。

【業務費】
① 人件費
② 通信交通費
③ 消耗品費
④ 印刷製本費
⑤ 運搬費
⑥ 光熱水費
⑦ 借料および損料
⑧ 会議費
⑨ 賃金
⑩ 雑役務費
⑪ 外注費
⑫ 共同実施費

【一般管理費】
業務費から外注費および共同実施費を除いた額に一般管理費率を乗じた金額

補助率

補助率と金額の上限は以下のとおりです。

【補助率】
1/2

【補助金の上限額】
事業所全体支援…100万円
複数のシステム支援…100万円
単一のシステム支援…60万円

計画策定支援事業で得られる成果物

計画策定支援事業を実施すると、支援機関より以下の①~③の成果物が得られます。このうち、実施計画書と算定報告書は設備更新補助事業に応募する際に応募書類の一部として活用できます。

① 診断報告書
② 実施計画書
③ 算定報告書

応募期間

令和4年4月13日(水)~ 令和4年6月20日(月)12時必着
ただし「令和4年度設備更新補助事業」の 2 次公募に応募予定の場合は、令和4年5月20日(金)12 時が提出期限です。

提出書類

交付申請に必要な書類は、以下のとおりです。

【交付規程書類】
① 交付申請書
② 整備計画書
③ 経費内訳

【支援に関する書類】
① 支援計画書
② 支援機関(選定)の見積書の写し
③ 支援機関(選定)の人件費単価根拠書類の写し
④ 副支援機関(選定)の見積書の写し (支援を共同実施で行う場合)
⑤ 副支援機関(選定)の人件費単価根拠書類の写し (支援を共同実施で行う場合)
⑥ 副支援機関(選定外)の見積書の写し (支援を共同実施で行う場合)
⑦ 支援機関(選定外)の見積書の写し

【申請事業者に関する書類】
① 直近2期分の貸借対照表及び損益計算書の写し
② 行政機関から通知された許可書等の写し(必要な場合)
③ 中小企業を証する書類 (必要な場合)
④ 消費税免税事業者確認書類 (必要な場合)

【支援対象工場・事業場に関する書類】
① 業務内容等が分かる資料の写し
② 範囲が分かる資料
③ 現在の所有者を確認できる資料
④ エネルギー使用量の根拠資料の写し

なお、完了報告の際には別途書類の提出が必要です。

申請方法

必要書類は紙・データ両方の提出が必要です。郵送のほか、電子データはメールでの提出も可能です。なお、jGrants による申請もできます。

設備更新補助事業

次に、設備更新補助事業についてみていきます。設備更新補助事業のみを申請することもできますが、計画策定支援事業対象事業者とは対象事業者等の要件が違いますので、注意してください。

設備更新補助事業の対象者

設備更新補助事業に応募できるのは以下①~⑩のうち、要件のすべてを満たした者です。

① 個人、個人事業主を除く民間企業
② 独立行政法人
③ 地方独立行政法人
④ 国立大学法人、公立大学法人及び学校法人
⑤ 社会福祉法法人
⑥ 医療法人
⑦ 協同組合等
⑧ 一般社団法人・一般財団法人及び公益社団法人・公益財団法人
⑨ その他環境大臣の承認を得て協会が適当と認める者
⑩ 地方公共団体(建物を共同所有する共同申請者に限る)

要件は以下のとおりです。

① 補助事業を遂行するのに必要な費用の経理的基礎を有すること
② 直近2期の決算において連続の債務超過がなく、適切な管理体制および経理処理能力を有すること
③ 脱炭素化促進計画(実施計画書)を策定し応募時に提出すること
④ 暴力団排除に関する誓約事項に誓約すること

交付を申請できるのは、本事業を実施する工場・事業場及びエネルギー使用設備機器の所有者のみです。工場・事業場の所有者と、補助対象設備の所有者が異なる場合は、両者が共同申請をする必要があります。

なお、参加形態には「単独参加」と「グループ参加」の2つがあります。
◆単独参加:1つの工場・事業場を対象に応募する形
◆グループ参加:複数の工場や事業場を1申請として応募する形態

対象事業

対象となる事業の要件は以下のとおりです。

① 以下の設備更新補助事業Aまたは設備更新補助事業Bのいずれかの要件を満たすこと
【設備更新補助事業A】
基準年度排出量が50t-CO2 以上である工場または事業場において、工場・事業場単位で年間CO2排出量を15%以上削減、または主要なシステム系統で年間CO2排出量を30%以上削減する脱炭素化促進計画に基づく設備更新
【設備更新補助事業B】
工場または事業場において、主要なシステムで次の1~3をすべて満たす脱炭素化促進計画に基づく設備更新
1.電化・燃料転換
2.CO2排出量を4,000t-CO2/年以上削減
3.CO2排出量を30%以上削減
② 基準年度排出量をSHIFT事業モニタリング報告ガイドラインに定める算定方法により算定できること
③ 自主的対策による排出削減目標量を1つ以上設定し、各対策について定量的な根拠を明示すること
④ 設備更新補助事業における高効率設備導入、電化・燃料転換によるCO2削減効果及びランニングコスト削減効果が定量的に把握可能であること
⑤ 補助事業の投資回収年数が3年以上であること
⑥ 平成31年度と令和2年度の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金・CO2ポテンシャル診断推進事業および令和3年度に二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金により機器等を導入した工場・事業場でないこと

対象経費

補助対象経費は以下の①~⑤です。
① 本工事費(材料費・労務費・直接経費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費)
② 付帯工事費
③ 機械器具費
④ 測量及試験費
⑤ 設備費

また、補助対象となる設備機器は以下のとおりです。

【エネルギー使用設備機器】
CO2 排出削減に寄与する高効率化あるいは電化・燃料低炭素化した産業・業務用設備機器や生産設備、廃エネルギーを利用した産業・業務用設備機器や生産設備が補助対象となります。

【燃料・エネルギー供給設備機器】
① 低炭素燃料供給設備および受変電設備
「エネルギー使用設備機器」の付属設備として低炭素燃料供給設備や受変電設備を導入する場合のみ、補助対象になります。

② 再生可能エネルギー発電設備
以下のすべてを満たす場合に補助対象となります。
・「エネルギー使用設備機器」を、補助対象設備として1つ以上導入すること
・発電した電力は、100%自家消費であること
・発電能力は「補助対象設備による削減量に相当する発電量」あるいは「導入した省 CO2設備で使用する電気量」の多い方を上限とする

③ コジェネレーション発電設備
コジェネレーション発電設備は既存発電設備の更新として導入する他、システム更新として新たに導入することができます(発生した電力および熱エネルギーは100%自家消費)。

④ 太陽熱供給設備
太陽熱供給設備は、単独で補助対象設備とすることができます (発生した熱エネルギーは100%自家消費)。

補助率・上限額

補助率と上限額は、以下のとおりです。

【補助率】
設備更新補助事業 A…1/3以内
設備更新補助事業 B…1/3以内
【補助上限】
設備更新補助事業 A…1億円
複数年度…年度あたり1億円
設備更新補助事業 B…5億円
複数年度…年度あたり3億円

申請の流れ

申請の流れは以下のとおりです。

① SHIFTシステム登録
② 補助事業開始
③ 事業工程表提出と月次報告書提出および中間検査実施
④ 基準年度排出量の第三者検証受検
⑤ 補助事業完了
⑥ 完了実績報告書提出
⑦ 交付額確定通知書発行
⑧ 精算払請求書提出

事業スケジュール

補助事業全体は4年間で構成され、設備導入年度、削減目標年度、調整・自主削減年度、報告年度と称します。また、設備導入が2カ年度または3カ年度にわたる計画の補助事業の場合、複数年度での事業申請を行うことができます。単年度事業・複数年度事業のスケジュールは以下のとおりです。

【単年度事業】
① 令和4年度[設備導入年度]
交付申請を行い、交付金を受け取ります
② 令和5年度[削減目標年度]
導入設備の運用および運用改善の実施により削減対策を実施します。排出枠の取引も可能となります
③ 令和6年度[調整・自主削減年度]
削減目標年度(令和5年度)の算定報告書を作成・提出します
④ 令和7年度[報告年度]
調整・自主削減年度(令和6年度)の算定報告書を作成・提出します
⑤ 令和8年度[報告年度の翌年度]
環境省の求めがあった場合、令和7年度の算定報告書と事業報告書を提出します。

【複数年度事業(2 年間)の事例】
① 令和4年度[設備導入年度]
交付申請を行い、初年度の交付金を受け取ります。
② 令和 5 年度[設備導入年度 2 年目]
内示通知書を受領し、交付申請書を協会へ提出します。交付決定通知後に2年目の事業を開始します。2年度目分の補助金交付を受けます。
③ 令和6年度[削減目標年度]
導入設備の運用および運用改善の実施により削減対策を実施します。排出枠の取引も可能となります
④ 令和7年度[調整・自主削減年度]
削減目標年度(令和6年度)の算定報告書を作成・提出します
⑤ 令和8年度[報告年度]
調整・自主削減年度(令和7年度)の算定報告書を作成・提出します
⑥ 令和9年度[報告年度の翌年度]
環境省の求めがあった場合、令和8年度の算定報告書と事業報告書を提出します。

申請期間

一次公募 令和4年4月13日(水)~令和4年5月20日(金)12時必着
二次公募 令和4年8月2日(金)~令和4年9月2日(金)(予定)

複数年度事業や設備更新補助事業Bは原則として一次公募で採択されます。二次公募は、原則として当年度の計画策定支援事業の利用者向けに実施されます。

提出書類

交付申請に必要な書類は、以下のとおりです。

【申請書類】
① 応募申請書
② 整備計画書
③ 経費内訳
④ 算定報告書/実施計画書
⑤ 事業工程表

【法人資料】
① 代表事業者の業務概要がわかる資料など
② 代表事業者および共同事業者の直近2期分の財務諸表

【公的資料】
①敷地境界が確認できる資料
・工場:工場立地法届出、消防法届出等
・事業場:建築基準法届出、消防法届出等
②敷地境界内の建物等の所有者が確認できる資料

【技術資料】
①導入する設備・技術に関する説明資料

【その他添付資料 (該当する場合のみ提出)】
①固定価格買取制度の設備認定に関する誓約書
②消費税免税事業者に関する確認書
③批准している環境指標の資料
④電力低炭素化取組実績資料
⑤脱炭素化促進計画の策定に関する第三者機関の支援実績資料
⑥中小企業等を証する書類
⑦対象設備に関するリース/ESCO契約書等 (リース/ESCOの場合のみ)

申請手続き

紙と電子データの両方を提出します。郵送のほか、電子データはメールでの提出も可能です。また、jGrantsによる申請もできます。

SHIFT事業活用のメリット

前述の帝国データバンク調査では、温室効果ガス削減に関する取り組みの課題として「他に優先すべき項目がある」が27.4%と1位になりました。また「設備や費用が確保できない」は19.8%です。企業経営において、環境問題への対応が大きな負担となっていることがうかがえます。
参考:帝国データバンク 温室効果ガス排出抑制に対する企業の意識調査

SHIFT事業のうち、計画策定支援事業は中小企業を対象にした制度です。したがって、2つの補助金事業を両方使えるのは中小企業に限られます。中小企業の支援に重点を置いたこの補助金は、温室効果ガス削減の取り組みにまわす余力のない企業にとって大きな助けとなるはずです。

まとめ

地球を取り巻く環境は、刻一刻と変化しています。環境問題に対する関心は世界中で高まっているにも関わらず、それは必ずしもポジティブな変化ではありません。

ひとりひとりの環境問題に対する姿勢が問われる現代では、企業においてもその貢献度が評価されます。環境問題への問題意識はあるのに予算的な問題で行動に移せずにいる企業は、ぜひSHIFT事業を活用してください。

温室効果ガス削減に積極的に取り組むことが、地球と共存するサスティナブルな企業への第一歩となるのです。

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