ここ1年あまりの企業の新規事業をチェックしていると、「利他ビジネス」の潮流がうまれつつあることに気づく。利他ビジネスは@DIMEと筆者が提唱するコンセプトで、次のように定義する。
・他者(環境や社会、人など)に貢献する体験を価値として提供する
・ビジネスとして持続するモデルがある(寄付や慈善事業ではない)
利他ビジネスが拡大すれば、よくある環境配慮型の商品・サービスと比べ、社会に対してよりダイナミックなアクションが起こると考えられる。
例えば、「サステナブル商品」として注目されたラベルレスのペットボトルは、従来と比べて環境負荷は少ないが、商品の価値はあくまで飲料のおいしさや便益にある。さらに進んで、貢献そのものに価値を感じる仕組みがあるのが利他ビジネス。再生可能エネルギーを増やすなど、プラス方向のアクションにつながるのだ。
事例をご覧いただくと、これまでより一歩踏み込んだチャレンジだと感じていただけるはずだ。ここでは、チェンジ・ザ・ワールド社の「グリーンワット」を紹介する。
グリーンワットとは?
「グリーンワット」は、個人が太陽光発電を小口購入できるサービス「CHANGE」の一商品。通常の「ワット」では発電量に応じた売電収入が得られるのに対し、「グリーンワット」を購入しても金銭は得られない。ただし、購入した発電所の発電量に応じたCO2削減量が可視化され、カーボン・オフセット(削減できないCO2排出を、植林や再エネ事業などで埋め合わせる取り組み)に参加できる。
経済的メリットが一切ない代わりに、「環境に対する貢献」を価値として提供するサービスだ。
ここまででは「寄付と同じだ」と思われるかもしれない。ポイントは、好きなときに購入時と同額で買い取ってもらえることだ。発電所を保有している間は、貯金感覚で「環境価値」を生み出し続けることができる。経済的にはプラスマイナスゼロになるわけだ。
銀行に預金してわずかな利息を得るか、個人や家族単位で環境問題へ積極的に取り組むか。昨今では、後者により大きな価値を見出す生活者は多いのではないだろうか。
太陽光発電は、再エネの売電価格を国が保証する「固定価格買取制度(FIT)」によって、拡大してきた。しかし、FIT価格は年々下落しており、今後は太陽光発電の新規導入が減少することが予測されている。
いっぽう「グリーンワット」のユーザーは、そもそも売電が目的ではないので、FIT価格に購買行動を左右されない。環境への意識が高まり、ユーザーが増えるほど、同社は太陽光発電所に投資することができ、日本のCO2排出量は削減されていく。
人々の善意と経済的な持続性の両方がなければ、環境への取り組みは広がらない。慈善事業ではなく、巧みなビジネスモデル社会課題を解決する利他ビジネスの好例と言えるだろう。
取材・文/ソルバ!
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