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Friday, December 31, 2021

【2022年を迎えて】持続可能な社会へ(1月1日) | 福島民報 - 福島民報

 二〇二二(令和四)年を迎えた。新型コロナウイルスの感染終息は二年近くたっても見通せず、長期にわたる社会・経済活動の停滞の影響と反動がさまざまな局面であらわになっている。一方、気候変動によるとみられる自然災害が国内外で相次ぎ、多くの命と財産が奪われている。持続可能な社会への転換に向け、われわれは大きな岐路に立たされている。

 二つの事柄に共通するのは決して人ごとではないという点だ。コロナ禍は世界全体に広がり、人類を等しく脅かしている。影響は社会の仕組み全体に及び、経済的にも多くの人が苦しめられている。自然災害もかつてない場所、規模で頻発するようになり、いつ、どこで、誰が被災者になってもおかしくない状況にある。高をくくっていると手痛いしっぺ返しを食う。

 一日も早くこれまでの日常を取り戻したい。誰もがそう願う。ただ、コロナ禍や未曽有の自然災害で壊れた社会を単に元に戻したところで、再び同じ災禍に見舞われるのではないかとの不安は消えない。人類のみならず、地球そのものが悲鳴を上げているのだ。もはや、これまでのモノの見方や考え方を変える時期にきているといえるだろう。

 新型コロナや気候変動がもたらす社会的混乱には既視感がある。とてつもない力である日、突然、社会が破壊される。生活の中に目に見えない物質が侵入し、その影響におびえ、ネット上では差別的言説や誹謗中傷、デマが飛び交う。人々の議論は短絡的な二元論に陥り、社会の対立と分断を招く。時の政権は民意のいら立ちに抗しきれず、退陣に追い込まれる。まさに東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に見舞われた時にそっくりだ。

 あの時も戦後社会のさまざまな歪みが露呈し、是正の必要性が指摘されたが、この十年余りで世の中が大きく変わったという印象はない。被災した人たちは社会を元に戻すだけでなく、その先も見据えて復旧・復興に取り組んできた。日常を少しずつ取り戻してきたものの、いまだに将来展望が開けない地域が少なくない。複雑に絡まり合った社会・経済構造の転換にはもっと大きなうねりが必要だ。

 希望はある。今回の事態について国民はもちろん、全世界の人々が当事者意識を持てることだ。人類が直面する危機にどのように対処するのか。いかにすれば持続可能な世の中を構築できるのか。これからの社会の在り方を一人一人が真剣に考え、行動する年にしたい。(早川 正也)

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