「YOIYO」でのコラボが決まった時、どのウイスキーを使うかの提案はマルス信州蒸溜所に委ねられていた。この蒸溜所ではシングルモルトウイスキー「駒ヶ岳」の他に、ブレンデッドウイスキーも各種つくっている。ウイスキーに合わせるチョコレートは、ロッテがこだわり抜いたミルクチョコレートが用意された。試食した時の印象を、同蒸溜所ブレンダーの河上國洋さんはこう振り返る。
「やはりウイスキーにはビターチョコが合うだろう、と想像していました。ところがいざ味わってみると、ミルクチョコの口溶けのなめらかさがマッチすると感じました。マルス信州蒸溜所のウイスキーの仕込み水は軟水です。そのせいか味わいがなめらかになり、丸みを帯びてくるようなところがあって。これはいけると思いました」
口溶けのなめらかさが特徴のロッテのミルクチョコレート。その中に詰めるウイスキーは、どれにするのか。出した答えは数あるブレンデッドウイスキーではなく、シングルモルトの「駒ヶ岳」だった。その理由をブレンダーの河上さんはこう説明する。
「YOIYOは日本の各地を旅するような気分で味わうチョコレートだと聞きました。ならばマルス信州蒸溜所の骨格になるウイスキーで勝負したいと思ったんです」
とはいえ、「駒ヶ岳」は生産量が限られたウイスキーだ。所長の折田さんは言う。
「駒ヶ岳は商品として発売すれば、すぐに売れてしまいます。でも、チョコの中に入れることで、その味を少しでも多くの人に届けられるという思いがありました」
だが、銘柄を「駒ヶ岳」に決めたのは、ウイスキー選びの始まりでしかなかった。樽で熟成させるウイスキーは、樽の種類やアルコール度数で味わいが変わってくる。
「この蒸溜所で熟成させている複数の樽をマッチングの対象にしました。ミルクチョコを念頭に置きながらサンプリングを進め、シェリー樽など十数種類をピックアップして最終選考に臨みました」とブレンダーの河上さん。セレクトに妥協がないのも、ウイスキーメーカーとしての矜持だろう。
ロッテの田中さんも参加した最終選考会。満場一致で選ばれたのは、バーボンバレルで熟成された「駒ヶ岳」だった。
「まず口の中でミルクの香りがして、後から『駒ヶ岳』のよさが広がっていく。これだ!と。参加者の緊張感が高揚感に変わった瞬間でしたね」と田中さんは話す。
からの記事と詳細 ( ジャパニーズウイスキーを味わうチョコレート「YOIYO <KOMAGATAKE>」。開発に秘められた想いに迫る。 - Pen-Online )
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