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Monday, March 29, 2021

船にチョコレート工房! わくわくが止まらないMSCグランディオーサ - 朝日新聞デジタル

ヨーロッパ最大級のクルーズ運航会社MSCクルーズから2019年10月に同社最大の客船MSCグランディオーサがデビューしました。総トン数18万1000トン、全長331m、全幅43m、高さ67mの雄大な客船は、バラエティー豊かな船上施設が充実。カジュアルからエレガントまで、幅広い魅力に富んだ革新的クルーズをご紹介しましょう。(取材時期2020年2月6~13日バルセロナ発着地中海クルーズ。現在、コロナ禍の影響で、当時のクルーズとは変更された点があります)

(トップ写真:マルタ島に到着したMSCグランディオーサ、撮影はすべて上田英夫)

■連載「クルーズへの招待状」は、クルーズ旅の魅力や楽しみ方をクルーズライターの上田寿美子さんがご紹介します。

未来型のクルーズへようこそ!

MSCクルーズは2017年から3年の間に5隻もの新造客船を就航させた新型クルーズづくりのエキスパート。技術革新、斬新な施設、バーチャルリアリティーを利用したプログラムなどにも果敢にチャレンジし、クルーズ新時代の扉を開けてきました。なかでも、MSCグランディオーサは、ハイブリッド排ガス浄化システム、高性能廃水処理、防汚塗装等々、環境に配慮した効率性の高い最新鋭船として完成しました。

さらに、乗客にも新しいタイプのクルーズを体験させてくれました。例えば、「MSC フォー・ミー」というアプリをダウンロードすると乗船前からクルーズ情報が入手できるうえに、航海中は色々な情報やイベントをチェックすることも可能でした。また、音声対応するバーチャルクルーズアシスタントZOE(ゾーエ)を各客室に配置し、船上生活をサポート。「OK ZOE」と話しかけると、音声で答えてくれるのが面白く、毎朝「今日の天気予報」を教えてもらうのが日課となりました。

ZOE

音声に反応するバーチャルクルーズアシスタントZOE(ゾーエ)

船上で私だけのオリジナルチョコを注文 迷うほど多彩な食の世界

船内には、11のレストランと20ものバーがあるので食べる楽しみも尽きません。メインダイニングとビュッフェレストランの食事代金は乗船料に含まれているのも気楽です。中でもユニークなのがビュッフェレストランの「マーケットプレイス・ビュッフェ」にガラス張りのモッツァレラチーズ工房があること。職人が造り上げた出来立てのフレッシュモッツァレラが無料で食べられるのは貴重な体験となりました。

すし

「カイト・鉄板焼きレストラン&寿司(すし)バー」で握りたてのすしを食べる

一方、有料のスぺシャリティレストランは、ドガの踊り子のデッサンなどファインアートに囲まれてフランス料理を食す「ラトリエ・ビストロ」、アメリカンスタイルのステーキハウス「ブッチャーズカット」、ミシュランのスターシェフが監修する「HOLA! タパスバーbyラモン・フレイシャ」、そして、海外でもすしが食べられる「カイト・鉄板焼きレストラン&寿司(すし)バー」など。

チョコレート工房

ユニークな船の上のチョコレート工房

さらに、有名なパティシエであるジャン・フィリップ・モーリーがプロデュースするカフェやチョコレート工房まであります。特に驚いた点は、店内の専用マシンに希望の組み合わせを入力すると、注文通りのオリジナルチョコレートを工房のチョコレート職人が作ってくれること。私もホワイトチョコにドライイチゴとマンゴーをトッピングしてもらったり、ミルクチョコレートにマシュマロ、キャラメル、レーズンを入れ「I Love You」と書いてもらったり。セントバレンタインデーも近いクルーズでの甘い思い出となりました。

チョコレート

注文通りのチョコレートが完成

オペラやシルク・ドゥ・ソレイユ 上質なエンターテインメントに感動

MSCグランディオーサには大型劇場「コメディ・シアター」があり、毎晩日替わりのショーが上演されました。初めて見たショー「ボヤージファンタスティック」は、船上ショーの中でもトップクラスのクオリティー。胸に響く歌と踊り、美しい衣装、そして、引き込まれる演出に、これまで500回以上船のショーを見てきた夫が初めて感動の涙を流したほどでした。

また、一日中海を走る航海日にはオペラを上演。「ラ・トラヴィアータ」(椿姫)を短縮した全3幕の悲恋物語に拍手喝さいが送られました。

オペラ

オペラの上演。有名な悲恋物語のクライマックス

一方、船内にはシルク・ドゥ・ソレイユ専用の円形劇場「カルーセル・ラウンジ」を設置したことも話題となりました。こちらは有料で予約が必要で、ディナー付きショーまたはスペシャルカクテル付きショーの選択肢がありました。今回はカクテル付きを選び、宇宙をテーマにしたショー「COSMOS」を観覧。空中を移動する宇宙飛行士や、軟体アクロバット、ジャグリングなど、シルク・ドゥ・ソレイユならではの高い芸術性を追求したショーは見ごたえ十分。地中海を走る海の上で、研ぎ澄まされたバランス感覚が必要なシルク・ドゥ・ソレイユが上演できることに、この船の安定性の高さも実感しました。

プロムナードとスクリーン

プロムナードと、空飛ぶ気球が天井を彩るLEDスカイスクリーン

船内6階のプロムナード「ガレリア・グランディオーサ」は両側にブティックやカフェが並ぶ船上の大通り。天井は約80mの長さのLEDスカイスクリーンに覆われ、星空、森林、空飛ぶ気球、宮殿の天井など刻々と表情を変えます。ここも、パレードやダンスパーティーなどが行われるエンターテインメントプレースとなっていて、白い服を着て踊る「ホワイトパーティー」、南国風の格好でカリブ海気分を味わう「トロピカルパーティー」、そしてシェークスピアの悲劇の主人公やキューピッドが登場するロマンチックな「ロミオとジュリエットナイト」など、大通りは思わず笑顔になるような場でもありました。

「ワイルド・フォーレスト アクアパーク」

子供に楽しい水の遊園地「ワイルド・フォーレスト アクアパーク」

このほかMSCグランディオーサには、水のテーマパーク「ワイルド・フォーレスト アクアパーク」、屋内外のプール、ボウリング場、スポーツコート、テレビスタジオ、カラオケクラブ、ピアノ演奏も聴ける大型ホール「インフィニティ・アトリウム」など娯楽の施設が満載。約700平米の子供エリアもあり、ティーンエージャー用のクラブや、LEGOと提携した子供プログラムなど、年齢に合わせた楽しみ方ができるので、ファミリー旅行にも便利と言えるでしょう。

ボウリング場

海の上でボウリングはいかが

「インフィニティ・アトリウム」

吹き抜け構造の「インフィニティ・アトリウム」は大型船にふさわしいダイナミックなデザイン

メガシップの中のラグジュアリースペース ヨットクラブの至福

バラエティー豊かで気さくな雰囲気が楽しめるMSCグランディオーサですが、その一角に高級感あふれる「MSCヨットクラブ」があります。ヨットクラブ客室の乗客だけが使えるプライベートエリアで、専用レストラン、専用プールやサンデッキも完備。専用ラウンジの「トップセイルラウンジ」は、16階の最前方にあり、高い位置にある大きなガラス窓から、船長になった視線で前方の海景色が堪能できます。美しいラウンジでは時間に合わせ、焼き立てのパン、フルーツ、チーズ、スナックなどが提供され、午後にはアフタヌーンティーとぜいたくな時間が過ぎてゆきました。

トップセイルラウンジ

ヨットクラブ専用のトップセイルラウンジ。眺望の良さと優雅なムードが人気

アフタヌーンティー

紅茶を選べるワゴンサービスがエレガントなアフタヌーンティー

そして、ナイトライフのはじまりは、暮れゆく海を見ながら、しゃれたオードブルと共にカクテルを一杯。その後、目のくらむようなスワロフスキークリスタルを敷き詰めた階段を上がり、専用のレストランでディナーの開始。フォアグラのソテーやロブスターのあぶり焼きなど、日替わりメニューの中から好きなものを好きなだけ選べます。食後は専用ラウンジに戻り、生演奏と共にアフターディナードリンク。ヨットクラブの魅力をさらに引き立てるのが、ツアーなどの手配をしてくれるコンシェルジュの親切な対応と、バトラー(執事)の素晴らしいサービスでした。

ロブスター

ヨットクラブレストランのディナーには大きなロブスターも登場

そして、大劇場でショーを見て、ブティックで買い物をし、プロムナードのパレードを楽しみ、ヨットクラブに戻って、のんびりと優雅な時間に浸るという組み合わせは、船上生活にメリハリと多様性をもたらし、クルーズの楽しさが数倍に膨れ上がりました。

階段

まばゆいスワロフスキークリスタルの階段を上れば気分もゴージャス!

いち早くクルーズを再開したMSCグランディオーサ

2020年は、新型コロナウイルスの影響を受け、4月ごろ世界中のクルーズが運航を中止しました。その中で、MSCクルーズは、衛生専門機関や、疫学・ウイルス学の専門家と協業し、衛生・安全のためのプロトコルを確立しました。そして、MSCグランディオーサは、クルーズ業界の中でも先駆けとして2020年8月から西地中海クルーズを再開し、クルーズファンの称賛を受けました。途中、イタリアの国内移動規制により一時運航を中止しましたが、2021年1月24日から、また西地中海クルーズを再開しました。
MSCクルーズの感染症対策についてはこちらをご覧ください。
https://www.msccruises.jp/jp-jp/Health-And-Safety-Measures.aspx

また、MSCグランディオーサより約7カ月早い2019年3月にデビューしたMSCベリッシマ(17万1598総トン)は、2021年に日本発着クルーズを予定しています。MSCクルーズならではの多彩でダイナミックなクルーズを、日本発着で楽しめる日が来ることが、今から楽しみです。

■このクルーズの問い合わせ先
「MSCクルーズジャパン」
https://www.msccruises.jp/jp-jp/Homepage.aspx

PROFILE

上田寿美子

クルーズライター、クルーズジャーナリスト。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて32年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社等のクルーズ講演も行う。著書に「豪華客船はお気に召すまま」(情報センター出版局)、「世界のロマンチッククルーズ」(弘済出版社)、「ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅」(産業編集センター)、「上田寿美子のクルーズ!万才」(クルーズトラベラーカンパニー)など。2013年からクルーズ・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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