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Wednesday, July 1, 2020

国際的に分散して「何に」投資するか? - 日本経済新聞

投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

「地球経済」の成長軌道は不変だ

ハジメくんも知っての通り、世界はたくさんの国や地域に分かれてそれぞれが独自に経済活動を行っている。世界経済はそれら全部を合わせた地域全体の経済、すなわち「地球経済」だ。その成長を振り返ると、経済成長の主役こそ年によって入れ替わるけど全体ではおよそ3~5%の範囲で毎年極めて安定した成長軌道を維持してきた。その流れは今後も将来にわたって長らく持続するだろう、ということをこれまでに学んだよね。だから地球経済の長期安定成長軌道にお金をのせて育てていく、それが国際分散投資という長期投資の運用手法なんだ。

投資先のパッケージをポートフォリオと呼ぶんだ

国際分散投資では言葉の通り「グローバル(国際)」に「投資先地域を分けて(分散)」株式や債券を併せ持つ。具体的には米国・欧州・日本、そして今後豊かになっていく新興国などをセットにする。このパッケージにした組み合わせを「ポートフォリオ」と呼ぶ。ポートフォリオには各地域の株式だけで組み合わせた「株式ポートフォリオ」や株式と債券をペアで持つ「バランス型ポートフォリオ」などがある。株・債券に加えて不動産投資信託(REIT)を通じて不動産資産を持つなど、さらに他の資産クラスを加える考え方もある。

投信を使えば簡単にポートフォリオになる

こうした分散ポートフォリオを個人が自分で組み立てるのは手間のかかる大変な作業だ。単に持てばいいわけじゃない。組み合わせには高度な資産運用理論に立脚した知識が必要になる。ハジメくんのような普通の生活者が国際分散投資を実行するにはあらかじめパッケージになった投資信託を活用するのが最適だ。

株と債券を組み合わせるとバランスが取れるんだ

さて、色々あるポートフォリオの考え方の中で、世界の経済活動を最も大きく取り込めるのは株式ポートフォリオだ。その代わり日々の株価は結構上下するから、ポートフォリオ全体の値段の振れ幅も大きくなる。一方、世界各地域の債券セットを株式セットと併せて持てば、値段の振れ幅をマイルドにすることができる。これがバランス型ポートフォリオで、長期国際分散投資の主流となる手法だ。つまり長期投資の王道たる投資対象は株式と債券なんだ。

おや、ハジメくん。だんだんチンプンカンプンになってきたような顔をしてるね。次回はなぜ株と債券が投資のメインストリームなのかを説き明かしながら、ポートフォリオの組み立て方をさらに深堀りして伝授するよ。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。

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