「デリバリーを始めてみたがうまくいかない」「テイクアウトの容器でプラスチックが大量に発生する」「食中毒や食品ロスの発生を防ぐには?」
今、新型コロナウイルスの影響で多くの飲食店・レストランなどの外食産業が苦戦を強いられ、業態転換が求められています。緊急事態制限が一部解除され、少しずつ出口は見えてきたものの、これまで店舗型で運営していたビジネスを突然、デリバリーにしたりオンラインにしたりする中で、プラスチック問題や衛生面、廃棄物の問題などで頭を悩ませている飲食店も少なくないでしょう。
本記事では、アフターコロナに移り変わりつつある今、飲食店がデリバリーやテイクアウトを開始したり、店舗営業を再開したりする際に持続可能にサービスを提供していくためのヒントをお届けします。
※以下の内容は、日本サステナブル・レストラン協会が運営する、食の未来をデザインする情報サイト「FOOD MADE GOOD」の新型コロナウイルス対策ガイドからの記事を引用・一部修正したものです。
安全で持続可能なサービスへの6つのステップ
1. 登録
配達(デリバリー)やテイクアウトを始めた飲食店・レストラン、カフェ、居酒屋を応援するサービスが各市町村、また団体で始まっています。このような取り組みへ参加することで、配達(デリバリー)やテイクアウトをしていることを多くの人に知ってもらうことができます。所在する地域で似たような取り組みがなされているか確認をして登録してみましょう。
市町村・各団体への取り組み
配達(デリバリー)サービス提供会社
配達(デリバリー)を今まで実施してこなくても、これから配達(デリバリー)を開始することもできます。配達(デリバリー)サービス提供会社が所在地をカバーしているか確認して、取り組みを一緒にできそうな会社を選んで連絡をしてみましょう。もしくは、自前での配達(デリバリー)、その他を参考に独自に取り組みをしてみましょう。
2. 調理場の安全性
15分ごとの手洗いなど、通常行われている食の安全対策に加えて英国の飲食店・レストランのデリバリーサービスを行っている「Deliveroo」が推奨している対策の要点を以下でご紹介します。
- 調理場やその他のエリア、特に狭いスペースへの行き来を減らす
- スタッフは作業中もソーシャルディスタンス2メートルを確保する
- 顧客が並んでいる間も間隔が十分に空くよう、待ち場所のマークをつける
3. 接触をしないことに配慮した配達(デリバリー)
調理場から配達員へ
- 調理場から配達員の待機場所まで配達物を届けるスタッフを設ける
- 業務以外での配達員とのコミュニケーションには、明確な指示を文書にて行う
- 配達員の待機場所に分かりやすく印をつけ、間隔を空けると共に、人数を制限する
- 配達員とスタッフが接触せずに配達物を渡せるように配達物を置く机を用意する
配達員からお客様へ
- 配達員は玄関チャイムを鳴らし、玄関の外に配達物を置いて、十分な距離を取るため後ろに下がり、お客様が出てくるまで待つ
- 接触をせずに配達を行うために、事前にクレジットカードやスマホ決済にて支払いをしてもらう。顧客が現金での支払いを希望する場合には、封筒に入れ準備してもらう
4. メニューの改訂
安全衛生対策を全て講じたら、次はメニューの考案をします。飲食店・レストランにとってもお客様にとっても良いデリバリーにしよう。
- 作業をシンプルにし、食品ロスを削減するために手順の少ないメニューを考案する
- 需要を満たしつつ、営業時間を短縮する
- 慣れるまでは需要の予測が難しく、余らせてしまう心配があるという場合には、冷凍メニューなど保存ができるメニューも提供すると良い
5. スタッフへのサポート
様々な理由から、この状況では今は仕事を続けたくないというスタッフもいるかもしれません。スタッフがどのような不安を抱えているか、聞いてみましょう。英国のレストラン「LEON」では、スタッフに様々なタイプの選択肢を示し提示しています。
メンタルヘルスに関する情報
6. お客様への情報発信
- SNSソーシャルメディア、店先への掲載、DMの配信などで、デリバリーやテイクアウトを行っていること、またどのように店舗をサポートしてもらえるかなどの情報発信をしよう
- 安全方針を共有しよう
- この状況だからこそ、お客様に支えてもらえるよう、情報発信し呼びかけよう
アフターコロナで営業を再開するときに役立つチェック項目
英国の調査では、消費者の半数以上が、ロックダウン以降、外食をためらうと回答しており、飲食店・レストランは、消費者にお店に来てもらうための努力をしなくてはいけません。これらの努力は容易ではないかもしれませんが、新型コロナウイルス以降(アフターコロナ)の世界を生き抜くために必要となります。この変化に対して、いち早くスタートを切り、そして対処することで、安全で持続可能な営業として再開することができるでしょう。
ソーシャルディスタンス
消費者の皆さんにお店に戻ってきてもらうためには、何よりも、その場所が安全だと感じてもらえるようにすることが必要です。飲食店・レストランを再開するための安全衛生に関する様々な要件が設定されています。ソーシャルディスタンスや衛生対策を適切に行うことで通常の業務の一部にすぐに組み込むことができます。
予約
□ これまで予約を受け付けていなかったレストランも、入店者数の管理や行列の回避のために予約システムの導入を検討する時が来ているかもしれません
□ 予約と予約の間隔は十分に時間を空け、一組ごとにテーブルの消毒を徹底的に行うようにしましょう
ダイニング・エリア(食事の場所)
□ 可能な限りドアを開けたままにし、人々の入店、退店の際にドアノブに触らなくて良いようにしましょう
□ 間隔を空けるためにテーブルや椅子を取り除く、もしくは使わないテーブルや椅子は塞いでおきましょう
□ 個室の有無をお客様に伝えるようにしましょう
□ 屋外のスペースがあれば、この機会にぜひ綺麗にしてみましょう。天気が良いときには、屋外の方が良いというお客様もいらっしゃるかもしれません
□ テーブルの上はは常に片付けを行い、清潔にしましょう
□ テーブルに醤油などの調味料の設置を止め、要望があったときに適度な量を小皿で提供することを検討しましょう
□ テーブルの上にカバーや蓋のされていない食べ物は置かないようにしましょう
□ 店内のスペースについて考えてみましょう。どこか人が集まってしまうようなところはないか確認をして、スペースをアレンジしてみましょう。より人と人との距離をとるようにするとともに、極力席が真向いにならないようにしましょう。また会計の際に、レジカウンターの場所を検討して移動することで、座席の方まで列ができて人との距離が近くなることがないようにすることができます
メニューの開発
□ いままで提供してきている料理のメニューを改めて見てみましょう。メニューは収益を生み出すツールです
□ ソーシャルディスタンス、健康、衛生面、仕入れの面も考慮に入れ、現実的に何ができるかという視点で、メニューをもう一度考案してみましょう。現段階で自信を持って提供できるメニューに絞ることもあり得るでしょう
□ 地元の食材や旬の食材を使用し、素材へのこだわりや思いを示しましょう
□ 一人前の量を見直し、想定される食品の廃棄量を最小限にしましょう。このことからコスト面でもメリットが出てきます
□ 健康への配慮は、個人レベルでもこれまで以上に重要になってきていますので、健康の要素をメニューに取り入れましょう。一人前の量を少なくしたり、メニューにカロリー表示や栄養価を表示したり、お肉の量を減らしたりすることなどができるでしょう
□ 店舗のキッチンが狭く、ソーシャルディスタンスを確保できない場合には、クラウドキッチン※やシェアキッチン※を検討してみましょう。もしくは、下ごしらえは一人のスタッフが一度に行い、他の作業と同時に行わないようにするなど、キッチンの使用時間を分けてみましょう
※クラウドキッチン:デリバリーサービスに特化した新しい飲食店の業態
※シェアキッチン:飲食店や菓子店の厨房設備を共同で使う
注文
□ バーは廃止し、テーブルサービスやアプリから注文できるようなサービスに切り替えましょう
□ 当面は、多くの人が触るメニュー表は使用しないようにしましょう。使い捨ての紙メニューや、カード形式のメニューが良いでしょう。これらのメニューの素材はサステナビリティに配慮されて調達されているもので、容易にリサイクルができるもので準備しましょう
料理の提供
□ 接触をできる限り最小限にするために、同じスタッフが同じテーブルを給仕するようにしましょう
□ ワインや水は、顧客が自分で注げるようにしましょう
□ トレイ、カート、近くのテーブルの使用、また料理がテーブルに並べられるまで席を離れていることなどを顧客に確認することなどによって、顧客になるべく接近せずにサービスができる方法を検討してみましょう
支払い
□ 接触することなく支払いができるよう、支払いアプリの導入を検討しましょう
□ キャッシュレスにするために、クレジットカードの受け入れもできるようにすると良いでしょう
□ キャッシュレス導入によりスタッフが慌てることのないように事前に研修を行うようにしましょう
□ 必要に応じて、値上げが必要になるかもしれません。このような場合には、顧客にも価格改定に理解をしていただくことも必要になります
健康、安全&衛生
□ 基本的なことですが、全てのものにシミや汚れが付いていないことを確認しましょう
□ お手洗い、ドアの取っ手、カウンターなどを清掃する回数を増やし、清掃記録をつけるようにしましょう
□ お手洗いやバックヤードの石鹸は切らさないように気をつけましょう
スタッフ
□ 衛生面や清掃の決まりについて徹底できるように、スタッフに改めて研修を行いましょう
□ 定期的に手を洗うようにスタッフに徹底しましょう。スタッフに徹底してもらうために、手洗いの張り紙やポスターをバックヤードに掲示すること検討しましょう
□ スタッフが手袋やマスクを利用できるようにしましょう
□ 業務に対するスタッフの配置を見直す必要があるかもしれません。例えば、バーやカウンター対応のスタッフは最小限にし、入店者数を管理するドアの対応を行うスタッフや、入店時の検温を行うスタッフが必要になるかもしれません
□ スタッフが自分の役割や、新たな業務に満足しているか、自信を持てているか、定期的に確認しましょう
ビジネスモデルの適応
□ 全てが「日常に戻る」まで、この危機をやり過ごそうという姿勢では、上手くいかないかもしれません。アフターコロナ禍におけるビジネスモデルを考え直すことが必要となります
代替の提供
□ 収入源として、様々な方法で生み出すことが最も必要となるでしょう。配達(デリバリー)やテイクアウトが行えるようにメニューを改訂し、今までのやり方を改善していきましょう
□ 配達(デリバリー)に向いている料理はどのようなものが提供できるかを検討します
□ これまでに一番人気のあった料理は何だったか、注文の多い料理は何か、それをどのようにアレンジできるかを検討することも必要です
□ インスピレーションを得るため、他のお店で参考になる事例はないかなど情報を仕入れることも重要です。収入を増やすことができる情報を得て、あらたなビジネスモデルを創造してみましょう
サプライヤー&サプライチェーン
□ 電気、水道、ガス、インターネットや通話料金の確認をしてみましょう。料金プランの見直しをする良いタイミングとなり、節約につながるかもしれません
□ この機会にサプライチェーンについて改めて考え、交渉を進めてみましょう。サステイナビリティにより配慮したサプライヤーとの関係性を新たに築くことで、より付加価値を付けることにも繋がるでしょう
□ 良いパートナーシップを築くことができそうな、サプライヤーがあるか調べてみましょう
集客し、お客様を繋ぎとめる
□ 旅行や観光業は、回復に長期間かかると思われます。観光客だけでなく地元のコミュニティを対象としコミュニケーションやエンゲージメントを行っていくことが、これまで以上に重要となります。常連の顧客に誠実であることが、前に進み続ける秘訣となります
前向きな情報開示
□ この危機的な状況において、適切なマーケティングを行いましょう
□ ウェブサイトの更新を続け、営業中であることを示しましょう
□ ソーシャルメディアとメールを毎日確認するようにしましょう。漏れなく全ての問い合わせに目を通せるよう、利用するメディアは1つに絞ったほうが良いかもしれません
□ 問い合わせが入ったら、お客様のニーズや質問に対して、誠意をもって回答をするようにしましょう。適切な対策が取られていると感じることで、顧客は安心してレストランを利用することができます
□ 提供している料理、予約の手順、サービスなどの変更点に対して、スタッフが理解できるように研修を行うなど準備をして、スタッフ全員が対応できるようにしましょう
□ お店で提示しているメニューやウェブサイトのメニューなど、改訂したメニューが全て更新されていることを確認しましょう
□ オンラインの飲食店・レストランの情報サイトに掲載されている営業時間や電話番号、メールアドレスなどの情報が更新されているか確認しましょう
□ 責任ある行動を心掛けるだけでなく、衛生面の配慮など企業努力を行っていることについても発信していきましょう。そうすることで、顧客は安心してレストランを利用することができます
コミュニティとの関わり
□ 地元の企業や飲食・レストランとも協働し、お互いに情報交換しましょう
□ 地域レベルで、コミュニティを巻き込んで取り組めることを探しましょう
□ 地域コミュニティの関連のある勉強会や作業部会などに積極的に関わりましょう
□ 地域イベントを開催して、地域でどのような動きがあるか顧客やコミュニティに発信しましょう
テクノロジー
□ 接触をしないで支払ができる方法や、オンライン予約サービス、メールでのマーケティングなど、テクノロジーを活用できる部分を考えてみましょう。日々のサービスにとって最も有益なものは何かを考え、投資する価値があるかどうか検討しましょう
サステナビリティ
□ これまでサステナビリティに配慮し一生懸命取り組んできたことを、断念してはいけません。この時間を使って、メニューの内容や、材料の調達先など、これまで、なかなか変えるのが難しかった部分について再度検討したり、強化したりしていきましょう
□ 再利用ができないものについて、リサイクル資源から作られたものや、リサイクルできるものを探してみましょう
□ ストローやマドラーなど、いつも無意識に調達している必ずしも必要ではないものを削減する良い機会になるかもしれません
□ 再利用可能なカップなど安全性を十分に維持するようにしましょう
□ 情報収集をして、最新のニュース、規制、変更を正確に把握するようにしましょう
□ 営業再開には、財政面での店舗の存続だけでなく、公共の利益やサステナビリティについても考えるようにしましょう
□ サステナビリティ取り組みを確認するツールとしては、無料ツールのFMG 50をお試しください
重要なことトップ3
1. 新しい働き方を推進するための準備をし、計画を立てましょう
2. 常に情報を受け取るようにし、入手できる情報を最大限利用しましょう
3. 事業主を対象にした政府のガイダンスを日々確認しましょう
新型コロナ影響下における食品ロスを防ぐ方法
食品廃棄物(食品ロス)は依然として業界の最大の問題の1つであり、レストランを休業する、また開店時間が縮小される、またテイクアウトや配達(デリバリー)を行うなど、サービスの形態が変化するにつれて、私たちは協力し、食品が、そのままゴミ箱に捨てられてしまうのを防ぐだけでなく、それらが有効活用されるようにする必要があります。
こちらにこの新型コロナウィルス影響下で、飲食店・レストラン、またフードシステムにおいて、食品廃棄物(食品ロス)を出さないようにサポートしている団体がいますので、ご紹介いたします。
TABETEは廃棄の危機にある食事を手軽にレスキューできるWebプラットフォームです。 まだおいしく食べられるけれど、閉店時間や賞味期限などの理由からお店が捨てざるを得ない食事をユーザーに伝えてレスキュー(救い出すこと)を行うアプリです。期間限定6/30まで「お店もレスキュー!プロジェクト」を実施しています。
PICKSはスマホで事前注文し、煩わしい会計の手間なく、店内の混雑を未然に防ぐことができるものです。事前注文でキャンセル料100%なので、オーダーに対してテイクアウト用に食事を作って購入されないリスクや食品廃棄のリスクを軽減することができます。
まとめ
いかがでしたか?新型コロナをきっかけに、人々は改めて、食が果たす役割や、食のサステナビリティについて考え直し始めています。飲食店を経営されている方もこれまで以上に、地域との結びつきやサステナビリティの重要性を感じている方も多いのではないでしょうか。
食は私たちの生活に彩りを与えてくれます。多くの人が、再びお気に入りの飲食店で同僚や友人、家族と食事ができる日を待ち望んでいるはずです。チェック項目は多岐にわたっていますが、ひとつひとつ着実に実行していくことで、安心・安全で持続可能な経営に近づくのではないでしょうか。
【引用記事】新型コロナウイルス(COVID-19)影響下における安全で持続可能なサービスへの6つのステップ
【引用記事】アフターコロナ、営業を再開するときに役立つチェック項目
【引用記事】COVID-19 影響下におけるフードロスを防ぐ方法
"持続する" - Google ニュース
May 19, 2020 at 01:00PM
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