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Wednesday, June 19, 2024

大著で「精神史」描いた長谷川宏 戦後民主主義、鶴見や吉本ではなく:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

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 《執筆8年、上下巻あわせて千ページを超す「日本精神史 近代篇(へん)」を昨秋、完成させた》

 哲学者・長谷川宏さんが半生を振り返る連載「持続する問い」、全4回の初回です。(2024年4~5月に「語る 人生の贈りもの」として掲載した記事を再構成して配信しました)

 なぜ、鶴見俊輔吉本隆明がいないの? 全共闘運動を取りあげない理由は?――興味津々という感じで随分聞かれましたね、読書会などを通じ長年つきあってきた友人たちから。

 前作「日本精神史」は縄文期の青森・三内丸山遺跡から江戸後期の鶴屋南北まで。思想・文学・美術から精神史を浮かび上がらせようとした。その手法は今回も変わりません。

 でも明治以降の日本の近代化とアジア太平洋戦争での敗北、そして自分の生きてきた戦後という時代を書くのは、覚悟していた以上に難しかった。書いては消し、の連続でした。特に戦後は。

 精神史、歴史として書く以上、普遍性がなければいけない。自由や平和、人権に象徴される戦後民主主義なら、それが認められる。一方、たとえば僕が現在の生き方を選んだ起点である1960年代末の全共闘運動は、僕にとって大きな体験だったが、日本社会の中で、どこまで普遍的だったといえるのだろうか。結果として、割合、穏健にみえるところで落ち着いたかもしれないと思う。

 一貫させたのは、個と共同体…

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