甘味は控えるようにしているので、コンビニやスーパーのチョコレートの棚は目をそらして通り過ぎている。久々に足を止めて値に驚いた。
何もかも値上がりの中、チョコレートは事情が加わるらしい。原料になるカカオ豆の産地西アフリカで収穫が激減。世界規模の争奪戦になり、取引価格が急騰したという。
チョコレートと言えば、林家木久扇さんが師匠林家彦六(1895~1982年)の数々の逸話を物まねを交え語る「彦六伝」がおかしい。70年代のことであろう、誕生日祝いのアーモンドチョコを口の中で溶かしていて「やい、このチョコレートには種がある!」。
中南米もカカオ豆の産地である。メキシコ中央部にかつて栄えたアステカ王国を滅ぼしたスペインの遠征隊は、現地人がカカオから作り「苦い水」を意味する「ショコラトル」と呼ぶ飲み物を本国に持ち帰った。コロンブスという説もある。スペインで、同様に貴重品の砂糖と出合ってチョコレートが生まれた。
チョコレートは宗教とかかわりながら欧州に広まった。その過程でパウダー「ココア」が生まれ、液体から固形になり、ミルクチョコが作られ、攪拌[かくはん]機で滑らかにする技術が発明された。日本には南蛮貿易でもたらされ、1878年には東京で「貯古齢糖」が売り出された(増田ユリヤ著「チョコレートで読み解く世界史」)。
カカオ豆も砂糖も、歴史をひもとけば産地の過酷な労働と消費地の豊かさは表裏一体だと教えられる。ではチョコレートの適正価格とは。考えていたら、甘味が欲しくなった。
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