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Monday, April 15, 2024

東レ・大矢光雄社長「革新技術・先端素材で持続する社会に」 - 日経BP

聞き手/藤井 省吾(日経BP 総合研究所主席研究員)

サステナビリティイノベーション事業を成長領域と定め、経営資源を投入して事業拡大を目指す。創業以来の強みである革新技術・先端素材を生かして、グリーン水素社会の実現に貢献する。

社会がカーボンニュートラルへと向かっていく中で、化学産業は今後、どのような存在意義を示していくのでしょうか。考えを聞かせてください。

大矢 光雄(おおや・みつお)

大矢 光雄(おおや・みつお)

東レ 代表取締役社長
1980年慶応義塾大学法学部卒、東レ入社。2002年長繊維事業部長、09年産業資材・衣料素材事業部門長、12年取締役、14年東レインターナショナル代表取締役社長、16年東レ専務取締役、20年代表取締役 副社長執行役員、23年より現職(写真:吉澤 咲子)

大矢 光雄 氏(以下、敬称略) 1926年の創業当初から「社会の公器」を標榜してきた企業姿勢は、カーボンニュートラル社会が到来しても変わることはありません。

 化学産業は温室効果ガスの排出量が全産業で2番目に多いとされることを自覚し、サステナブルな社会の実現への貢献を社会的使命と捉えています。その社会的使命を果たしつつ自社の経済的価値を高める。これを両立させることがミッションだと考えています。

 創業以来、素材には社会を変える力があると信じ、高分子化学や有機合成化学などの技術を生かして先端素材・高付加価値素材を開発し、産業界に供給してきました。当社の革新的な先端素材がサステナブルな社会に変えていく、それこそが東レが約100年続けてきた事業活動の歴史であり、変わらないDNAです。

 あらゆる産業の上流から様々な素材を供給してきた当社は、日本の製造業を支える存在であると言っても過言ではありません。特に日本が世界に誇る自動車産業や電気電子産業のイノベーティブな製品開発には、当社をはじめ化学産業の先端素材が重要な役割を果たしています。

 社会はカーボンニュートラルやサステナブルな方向へ進んでいきますが、その変化をけん引するのは社会の変革を支えるためにたゆみない研究開発を続ける化学産業だと考えています。

 あらゆる課題に対してソリューションを高い技術力で生み出し、提供することこそが、これまでも、そしてこれからも変わらない化学産業の存在意義です。

資源循環に貢献する素材技術

素材やポリマー(高分子化合物)などの幅広い技術を生かしたサーキュラーエコノミー(循環型経済)の構築に取り組んでいます。具体的な施策について教えてください。

大矢 我々の強みは、独自のポリマー技術を生かして開発した先端素材の研究開発(R&D)を、長期間にわたって続けてきたことです。

 炭素繊維や逆浸透(RO)膜については60年代から、継続的にR&Dに取り組んできました。欧米企業では、これほど長期間のR&Dが行なわれることはほとんどありません。それが当社の特徴であり強みだと思っています。

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