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【ソウル時事】日韓最大の懸案だった元徴用工訴訟問題の解決策を韓国政府が発表してから6日で1年。尹錫悦大統領の「決断」(韓国政府関係者)で、冷え込んでいた日韓関係は急速に改善したが、解決策履行に必要な資金が不足するなど新たな課題が浮上。安定した関係が持続するか不透明感も漂う。
韓国政府は昨年3月、政府傘下の財団が日本企業の賠償金を肩代わりする解決策を発表。直後、尹氏が就任後初めて訪日し、岸田文雄首相と会談。1年で日韓首脳会談は7回に上り、関係改善をバネに日米韓3カ国の連携も進んだ。
対北朝鮮での安全保障協力は進み、半導体産業など経済面の連携も深化した。ただ、世論には、日本企業の謝罪や賠償がなく「日本の『呼応』が不足している」との不満もくすぶる。
財団は2018年に韓国最高裁で勝訴が確定した「1次訴訟」の原告15人のうち、解決策を受け入れた11人の原告と遺族に賠償金相当額25億ウォン(約2億8000万円)超を支給。財源は主に韓国の鉄鋼大手ポスコが寄付した40億ウォンから充てた。
しかし、23年末からは「2次訴訟」と呼ばれる9件の訴訟の最高裁判決が相次ぎ、いずれも日本企業が敗訴。当事者52人、請求額基準で計44億ウォン超で、韓国紙・東亜日報によると、遅延利息も含めると計95億ウォンを超える。このままでは財源が底を突くのは確実だ。
韓国政府は1965年の日韓請求権協定で恩恵を受けた韓国企業などの寄付でまかなう考えだったが、ポスコ以外に応じた企業は今のところない。韓国政府関係者は「探せば寄付する企業もある」と述べ、企業が動きを取りやすくなる4月10日の総選挙後への期待をにじませている。
また、一部原告は財団からの受け取りを拒否。財団は資金を裁判所に預ける「供託」による解決を進めるが、地裁は受理しなかった。財団は高裁に抗告したが、最高裁までもつれ、供託が認められない余地も残る。
原告支援団体などは6日、ソウルで記者会見し、解決策を発表した朴振前外相が総選挙に出馬することを批判。選挙に出るより先に「被害者に謝罪せよ」と訴えた。
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