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日経平均株価の史上最高値更新は、海外投資家が主導した。とりわけ、欧州経由で東京株式市場に流入した資金の存在感は圧倒的。この中には潤沢なオイルマネーに支えられた中東の政府系ファンドの資金が含まれるとされ、不動産市況の悪化で景気に急ブレーキがかかった中国から資金が日本にシフトしたとの観測が広がっている。ただ、海外頼みの株高は国際情勢の変化にもろいリスクを抱え、このまま持続するかは不透明だ。
「欧州勢の買いは、日経平均の推移とほぼ連動する」と指摘するのは、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジスト。中東のオイルマネーのほか、北欧の年金基金や英領の租税回避地を拠点とする投資会社などの資金が東京市場に投じられたとみている。
欧州からの資金流入が一段と加速したのは今年1月。月間の買越額が1兆8500億円を超え、日経平均の上昇が勢いづいた昨年4月からの累計は5兆8600億円に達した。一方、中国の代表的な株価指数、上海総合指数は昨年末から今年2月初めにかけて約1割下落。銀行系証券のストラテジストも「1月は中国株に振り向けられていた資金が日本株に回ってきた」との見方を示す。
今後も追い風が続くかどうかは見通せない。米欧が遠からず利下げ局面に入るとみられる一方、日銀がマイナス金利政策の解除など大規模緩和の正常化に踏み出して金利差縮小で円安が是正されれば、海外投資家が割安に日本株を買えるメリットが薄らぐ。
中国景気の行方や、長期化するウクライナ、中東の「二つの戦争」も大きな懸念材料だ。さらに、米大統領選で対中強硬策を掲げるトランプ前大統領が勝利すれば、日本企業の中国ビジネスにも逆風が吹きかねない。国内景気も個人消費の足踏みが続いており、市川氏は「賃上げが不十分なら海外投資家の失望を買い、資金が流出することもあり得る」と懸念している。
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