カカオ豆先物が急騰を続け、初めて1トン=9000ドルを突破した。供給不足が市場を襲い、チョコレートメーカーはカカオ豆の確保に苦慮している。
カカオ豆先物は今月だけで約50%上昇し、年初水準の2倍を上回る急騰ぶりだ。世界のカカオ豆のほとんどを供給する西アフリカの生産地で天候不順と作物の病気による不作が続いているほか、他の地域では生産拡大の兆しがほとんど見られないため、カカオ産業は窮地に立たされている。
価格はわずか数カ月前には考えられなかった1万ドルに向かって上昇し、カカオ豆は代表的な工業用金属である銅よりも高くなっている。
カカオ豆価格の上昇は、年間を通じてチョコレートのコスト上昇につながるだろう。イースターエッグ(復活祭の卵)型をしたチョコは昨年のカカオ豆価格高騰ですでに高くなっており、一部のメーカーは打撃を和らげるためにサイズを小さくしたり、カカオ豆以外の原材料を使った商品を宣伝したりしている。
ニューヨーク市場のカカオ豆先物は一時、前営業日比2.8%上昇し、9188ドルを付けた。テクニカル指標がここ数カ月、買われ過ぎの領域にあったにもかかわらず、価格は上昇を続けている。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ダイアナ・ゴメス氏は22日のリポートで、「砂糖価格が高騰する中、カカオの木の病気や天候不順で供給不足が長引けば、2025年のイースターにはチョコレート価格がさらに高騰するかもしれない」と指摘した。
価格が高騰する一方で、投機筋は市場から撤退している。未決済約定残高は1月下旬のピークから減少し、投機筋の買越幅は直近1週間で1年ぶりの低水準まで減少している。これは価格の上昇に現物買いが重要な役割を果たした可能性を示唆している。
供給状況はさらに悪化する恐れもある。生産過程で森林が破壊された原材料の輸入を禁じる欧州連合(EU)規則が施行されれば、欧州圏の主要チョコレートメーカーにとって供給確保がさらに難しくなる可能性がある。
現在、西アフリカでは年に2回の収穫期のうち、収穫量の少ないミッドクロップが注目されている。主要生産地であるコートジボワールの規制当局は、今シーズンは収穫量が減少すると予想していると、ブルームバーグが今月報じている。
原題: Cocoa Is More Expensive Than Copper as It Tops $9,000 Mark(抜粋)
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