大手食品メーカーの株式会社明治と、理化学研究所 生命機能科学研究センターが共同で2つの研究を行い、カカオポリフェノールを豊富に含む高カカオチョコレートの摂取が人の脳の効率的な活用に寄与することを明らかにした。その研究成果を発表する「カカオ最新研究成果発表会」が2月27日、都内で開催された。
まず明治グローバルカカオ事業部 本部長 萩原秀和氏の挨拶に続いて、理化学研究所 生命機能科学研究センター研究員の渡辺恭良氏が登壇。特別講演「脳疲労のメカニズムとその対策」を行った。
現代人の脳は、受け取る情報量の多さ、マルチタスクによるオーバーワーク、漠然とした先行き不安、睡眠・休息不足などで、誰もが気づかないうちに「脳疲労」を抱えてしまっているという。渡辺氏は「現代人の81.8%が疲労を感じている」との調査結果を紹介し、人体に脳疲労が起こるメカニズムを科学的に解説。こうした脳疲労をリセットする対策として、睡眠・休息をとること、体を動かすこと、さらに「脳を省エネ化する」ために高カカオチョコレートを摂取することが有用だと話した。
この講演を受けて、理化学研究所 生命機能科学研究センター研究員の水野敬氏が登壇。「高カカオチョコ摂取による脳機能の効率化」の成果発表を行った。
1つ目は、高カカオチョコレートを摂取した時と、低カカオチョコレートを摂取した時の認知機能のパフォーマンスを評価した試験。その試験結果から、高カカオチョコレートを摂取することは脳の認知パフォーマンスを維持する可能性があることを示した。
2つ目は、高カカオチョコレートを摂取した後、課題に取り組んでいる最中の脳の血流や活動状態を評価するための試験。高カカオチョコレートを摂取すると、課題の遂行に必要な脳活動を省エネで行うことができたという結果に。
以上の2つの研究から、高カカオチョコレートを摂取すると、脳のパフォーマンスを維持することができ、脳資源を効率よく使うことができる、つまり”脳の省エネ化”に役立つと考えられる、と結論付けた。
明治の萩原氏は「(今回の成果発表を受けての)具体的な商品展開については、現時点では決まっていない状況で、これから検討していきたいと思っています。われわれ明治は、今後もカカオの価値を研究し、いろいろな形で発表していきたい。カカオそのものの価値提供、価値増進に関わることを今後も進めていきたいと考えております」と締めくくった。
取材・撮影/水野幸則
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