国際酪農連盟(IDF)は10月16~19日、米国シカゴ市で「国際酪農連盟ワールド・デーリー・サミット2023(2023 IDF World Dairy Summit)」を開催した。同サミットは、世界の生乳生産の74%を占める39カ国の酪農関係団体から構成されるIDFが主催しており、1903年に同連盟の初会合が開催されて以降、世界各地で開催され、米国での開催は30年ぶりとなる。55カ国から1,240人の酪農関係事業者、牛乳・乳製品メーカー、研究者、政府関係者などが参加し、「無限の潜在能力と限りない可能性(Boundless Potential. Endless Possibilities.)」をテーマに、より持続可能な世界の食料供給に貢献する酪農の可能性を政策、科学、技術の側面から探るセミナーなど20を超えるプログラムが催された。
初日には、トム・ビルサック米国農務長官がセミナーに登壇し、農業界にとって最も懸念すべきは気候変動の問題だとし、「気候変動が私たちの生産体制に与える影響や、世界人口が増加する中で生産性を維持するために起こっている米国農業の転換・統合の動きを注視している」とした。米国には持続可能な方法で生産された製品に関心を持つ消費者がいることを背景に、「気候変動に配慮した農業は、非常に大きなチャンスを生み出す」と述べた。米国農務省(USDA)は、30億ドルで87品目に関わる141プロジェクトに資金提供を開始しており、酪農分野では、カリフォルニアでのメタン削減技術の検討をはじめとした18のプロジェクトなどに資金提供をしていると紹介した。
IDFは19日に次の内容の声明を発表した。
- 酪農・乳業界は、世界の消費者の栄養改善にコミットする
- 人、動物および地球にとってより持続可能な未来に貢献する
- 生産者の生活を支えるとともに雇用創出などを通じて地域社会に貢献する
- これらについて各国政府、国際機関、世界の食品業界に対して支持を呼びかける
また、10月19日から20日にかけて、酪農・乳業関連施設を視察する4つのテクニカルツアーが開催された。インディアナツアーでは、大規模農場のFair Oaks Farms(フェア・オークス・ファームズ)などへの訪問が組まれた。フェア・オークス・ファームズは、飼養頭数3万6,000頭と大規模な酪農場で、酪農生産の現場を消費者に知ってもらうためのさまざまなアトラクションを有しており、「農業界のディズニーワールド」ともいわれている。アトラクションには、搾乳機械の装着を疑似体験できる子供向けの遊具、バスに乗ったままの牛舎内の見学、ロータリー型搾乳ロボットによる搾乳の様子の見学などが含まれている。日本からの参加者は、「日本でもこうした消費者教育をテーマにした施設が必要だ」との声があがっていた。
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