米国航空大手のデルタ航空は8月29日、開発公社のグレーター・ミネソタ・セントポール・パートナーシップを通じて、バンク・オブ・アメリカなどとともに企業連合を発足させ、航空業界の脱炭素化(注)のためにミネソタ州で持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel, SAF)ハブを設立したと発表した。SAFは、航空機の動力源として使用される二酸化炭素(CO2)排出量の少ないバイオ燃料で、トウモロコシや食用油、林業残材などが原料となる。各業界の大手企業が中心となってSAF生産に取り組む大規模なハブを設立するのは米国では初の試みとなる。前述の2社のほか、衛生や感染予防、サステナビリティーサービス提供のエコラボ(本社:ミネソタ州)と電気・天然ガス供給サービスのエクセル・エナジー(本社:ミネソタ州)が参加する。今回発表された複数年にわたる取り組みの目標は次のとおり。
- 原料の供給源から始まるSAFのバリューチェーンの全段階で、環境と水に配慮する。
- 原料の調達から加工、精製、混合、ミネアポリス・セントポール国際空港での使用に至るまで、統合されたバリューチェーンを開発することにより、安価かつ低炭素のSAFを生産する。
- 従来のジェット燃料からSAFへの転換プロセスを加速し、商業的発展を拡大させるため、革新的なソリューションや技術の採用を促進する。
- 再生可能な作物由来の原料から商業的に実用可能な超低炭素SAFを生産することに関連する科学的・技術的な課題に取り組むため、大学や民間企業の研究を支援する。
SAFハブ連合は、早ければ2025年に手頃な価格で低炭素のSAFを州外からミネアポリス・セントポール国際空港に商業規模で導入することを目指している。さらに将来的には、ミネソタ州で生産されるエタノールを使用してSAFの製造をする計画だ。この取り組みで、デルタ航空は同空港で2027年までに燃料の10%以上にSAFを使用、2035年までに50%使用することを目標にしている。
同州はトウモロコシ生産量が全米第3位など、農業生産がさかんな州なことから、同州では農作物ベースのバイオ燃料を通じてSAF関連産業を成長させる取り組みが始まっている。ティム・ウォルツ知事(民主党)と副知事のウェブサイトでもこの件を紹介しており、同知事が2023年に署名した同州のSAF税額控除と連邦の優遇措置により、州の新興の持続可能な航空燃料産業の成長に貢献するとしている。
(注)米国エネルギー省によると、運輸部門での2021年のCO2排出量は、乗用車が58%、トラックが23%、航空機が8%を占めている。
(星野香織)
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