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Sunday, October 2, 2022

コロナ後遺症、認知症の早期発症リスク「脳に影響、インフルと異なる」岐阜大教授が警鐘 - 岐阜新聞

 新型コロナウイルス後遺症の症状のうち、脳や神経への影響に注目が集まっている。倦怠(けんたい)感や、記憶力や思考力が低下する「ブレーンフォグ(脳の霧)」などの症状のほか、海外では認知症の早期発症リスクが高まるとの報告もある。感染者の全数把握が簡略化され、新型コロナの感染症法上の扱いを季節性インフルエンザと同等の「5類」へ引き下げを望む声も上がる中、コロナ後遺症について調べている岐阜大の下畑享良(たかよし)教授(脳神経内科学)は「脳に影響し得る点で、インフルエンザとはまったく異なる疾患だという正しい認識が必要。感染予防は不可欠だ」とくぎを刺す。

 下畑教授は世界的大流行が始まった当初から神経合併症に関する海外の報告を集めて検証しており、厚生労働省がまとめたコロナ後遺症の診療の手引作りにも編集委員として関わった。コロナ後遺症について、オランダでコロナ患者ら約7万6千人を対象に実施された追跡調査の結果を引き合いに、「海外では罹患(りかん)者の8人に1人に何らかの後遺症が出現するというエビデンス(科学的根拠)もある。社会への影響が大きいことを認識する必要がある」と警鐘を鳴らす。

 コロナ後遺症の症状は、かぜのような症状から重い倦怠感までさまざまで、時とともに軽減することも多いが、流行株の移り変わりとともに「長期化する後遺症の症状は、呼吸器などから神経疾患中心に変化している」という。「注目すべきは新型コロナが認知症の危険因子となっていること。特に高齢者では明らかで、脳の萎縮も生じている。最近の研究では入院を要する重症例や、嗅覚障害が長期持続する症例では危険性が高まることが分かっている」と指摘する。

 また「オミクロン株の出現以降も神経合併症のリスクはあまり変わっていないことや、小児でもブレーンフォグのリスクは通常の呼吸器感染症と比較して高いことが報告されている」とし、感染者数は減少しているものの、後遺症のリスクは決して侮れないという。

 新型コロナは感染症法で2番目に危険度の高い「2類相当」に位置付けられているが、「5類」への引き下げを求める声も上がる。「『コロナはインフルエンザと変わらない』と言う人がいるが、完全な間違い。感染は極力避けるべき疾患だ」と述べ、気を緩めることなく感染対策に努める必要があるとした。

 【新型コロナウイルス後遺症】 倦怠感や息切れ、思考力や記憶力の低下などがあり、日常生活に影響することもある。世界保健機関(WHO)は新型コロナ罹患後症状(いわゆる後遺症)を「感染後少なくとも2カ月以上症状が続き、他の疾患としては説明がつかないもの」と定義。症状が長引くと「ロングCOVID」とも呼ばれる。発症のメカニズムには不明点が多いが、ウイルスの持続的な感染や、感染後の免疫調整不全による脳の炎症なども要因に挙げられている。

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