本コラムでは、Googleが提供する学術雑誌のインパクト指標「h5-index」から、各領域10誌を抽出。それを元に世界中で最も多くツイートされた論文を紹介する。
10月10~16日に最もツイート数が多かったのは、Archives of Disease in Childhood誌の論文「Social communication skill attainment in babies born during the COVID-19 pandemic: a birth cohort study」(COVID-19パンデミック中に生まれた乳児の社会的コミュニケーション能力)で、987件だった。この週は、話題になった論文がいつもより少なかったようだ。
この論文は、COVID-19パンデミックの初期に生まれた赤ちゃんが、ロックダウンに代表される感染防止対策のために、生後1年間に家庭以外の一般的な社会的交流機会を奪われてしまった影響を検討しようとしたものだ。2020年3月~5月にアイルランドで生まれた乳児のコホートと、2008~2011年にアイルランドで生まれた乳児のベースラインコホートを作成し、両親や保護者が評価する生後12カ月時点の発達指標の達成度を比較している。
両コホートとも、四つん這い歩き、家具に沿って横歩き、1人立ち、親指と人差し指で小さなものをつまむ、レンガ状の物を重ねる、指で食べる、自分の名前が分かる、明確で意味のある単語が1つある、物を指差す、バイバイと手を振る、の10技能を測定した。
パンデミックコホートでは期間中に生まれた3773人の乳児のうち、309人から協力が得られた。ベースラインコホートには1629人が参加していた。出生時体重の平均値は、両群とも3.5kg(標準偏差0.5kg)で、女児の割合はパンデミックコホートが45.6%、ベースラインコホートは48.8%だった。妊娠期間は39.3週と39.7週だった。保護者が質問票に回答した年齢は、パンデミックコホートが平均値で400日(標準偏差24日)、ベースラインコホートが381日(19日)だった。
パンデミックコホートでは、12カ月評価時に、明確で意味のある単語が1つある乳児(76.6%と89.3%)、指差しができる乳児(83.8%と92.8%)、バイバイと手を振る乳児(87.7%と94.4%)の割合が少なかった。共変数を調整した対数二項回帰分析による相対リスクは、明確で意味のある単語が1つあるが0.86(95%信頼区間0.80-0.92)、指差しが0.91(0.86-0.96)、バイバイの合図が0.94(0.90-0.99)だった。
これらの結果から著者らは、COVID-19パンデミックに伴う社会的孤立は、この期間に生まれた乳児の社会的コミュニケーション能力に影響を及ぼした可能性があると結論している。しかし、赤ちゃんはもともと回復力があり、好奇心旺盛なため、社会活動の再開により、コミュニケーション能力の向上が期待できるとも考えている。
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