2022年9月26日 午前7時30分
【論説】福井県勢が得意とするスポーツと聞くと何を思い浮かべるだろう。ホッケーやボート、体操など、国内外の大会で県勢選手が活躍する競技が挙げられるだろうか。こういった“お家芸”をはじめ、県勢の活躍が楽しみなのが国民体育大会(国体)。新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期、中止を余儀なくされてきた秋季国体が3年ぶりに栃木県である。
先行して会期前競技が19日まで同県で行われた。そのうち体操では少年女子に出場した鯖江高が圧倒的な強さをみせ優勝した。「チーム福井一丸となって力を十分に発揮し、県民に勇気と希望を与えることを誓う」。本番前に同校選手が述べた言葉通り力を発揮し、演技はもちろん、会場移動の際に見せる笑顔も魅力的で、福井を大いに盛り上げてくれた。
栃木国体は10月1日に総合開会式があり、競技が本格化する。ここまでの男女総合得点(天皇杯)で福井県は20位台にいる。県スポーツ協会が掲げる目標は10位台。得点が大きいホッケーやソフトボール(個人の8倍)、ボートやハンドボール(同3~5倍)など福井が得意とする競技が残り期待はできる。順位にこだわり過ぎてもよくないが、体操少年女子の例を見ると好成績は県民を盛り上げるし、今後のスポーツ振興の後押しにもなるのではないだろうか。
天皇杯でトップに立った2018年の福井国体からは既に4年がたつ。県が同国体を契機に、県勢アスリート拡充事業として取り組み、それなりの成果を出した「特別強化コーチ制度」は昨年度で終了。福井所属で活躍した全国トップクラスの選手の多くは引退したり、県外転出したりしている。福井国体後は県内でスポーツ熱の高まりが感じられたが、ここ2年のコロナ禍で、熱を持続するのが難しくなっているという声も漏れ聞こえる。
全国規模でみると、福井県は人口が少ない分、スポーツ選手の数もそう多くない。高校や大学を卒業後、県内で本格的に現役を続けられるチームも限られた数になる。こういった環境で全国、世界に通用する選手を育てるのは容易ではないだろう。それでも、体操のように結果を出し続ける競技はある。持続可能な強化策は“お家芸”競技の選手育成・強化手法、環境整備策の中に、ヒントが隠されているのではないか。
栃木国体は2年間、成果を出す場を奪われた全国の選手が満を持して臨む場。気合が入るのは福井県勢だけではない。県選手団は壮行式で「(実施断念の)鹿児島、三重国体に出るはずだった選手の思いを背負い全力で戦う」と決意した。福井の底力を示してほしい。
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