世界規模でDX化が進み、ビッグデータの分析やアナリティクスの活用は今や社会・企業の成長にとって欠かせない手段となった。そんな中、設立3年のスタートアップでありながら、社内外のデータを集積したプラットフォーム(基盤)と、スマートシティから脱炭素まで幅広いデータ活用事業を展開しているのが株式会社DATAFLUCTだ。
同社の事業開発の柱となるのが「サステナブルアルゴリズム」の考え方だという。
サステナブルアルゴリズムとは何か? それを実現していくためのデータ活用とは? 同社代表取締役の久米村隼人氏に、この考え方に至った経緯と背景、目指していく未来と挑戦について伺った。
すべての人がデータを活用できる、持続可能な未来を作りたい
写真提供:DATAFLUCT
“すべての人がデータを活用できる、持続可能な未来を作る”こと。DATAFLUCTでサービスを開発する際に最も大事にされている「サステナブルアルゴリズム」は、これを目指したものだという。
アルゴリズムは一般的にコンピューターなどの「算法」を意味することが多いが、ここでは広い意味での「思考法(考え方)」「解決法」を指す。「データを商いに」を企業ビジョンとし、社会課題解決のためのデータビジネスへと積極的に取り組む久米村氏は、この考え方に込められた想いについて次のように言及した。
実現のために重要なのは「バリュードリブン」で進むことだという。難しいデータ技術を誰もが使えるようにして、その恩恵をすべての産業に届けたいと考えるDATAFLUCTでは、次の3点をバリューとして掲げている。
①データプラットフォームパートナー
データプラットフォームを備えたパートナーであること
②インパクトメーカー
ビジネスはもちろん、環境・社会に向けたインパクト作りに伴走していくこと
③ウォールブレイカー
日本の組織における細分化されたデータ活用の仕組みを壊していくような存在になること
社会課題に取り組むうちに生まれた疑問が「サステナブルアルゴリズム」へとつながった
画像提供:DATAFLUCT
同氏が「サステナブルアルゴリズム」の考え方にたどりついた背景には、何があったのだろうか。聞けば、DATAFLUCT創業前から「社会課題解決」を前提とした案件に数多く関わり、実績を重ねる内に、自然とそうした考えにつながる疑問や課題感が生まれてきたという。
また、宮崎県の鰹漁師と、いわゆる“ベテランの勘”をAIに学習させ、ロボット漁船を作るプロジェクトも手がけました。現在漁師の後継者不足から、外国人留学生が多く船に乗るようになっていますが、環境は過酷です。AIによる漁業は、長期的視点で考えると避けて通れない選択肢だったと思います。
こうした事業に取り組む中で生まれたのが、「それって100年後も続いているのだろうか?」という、持続可能性に関わる疑問だった。上記のような社会課題は1つの要因によるものではなく、社会的、経済的、環境的な複数の要因が絡み合い生み出される。
久米村氏は、各課題の複雑に入り組んだ要因を解くため、「現場に行き、話を聞き、観察し、世界のニュースを見て、統計データを漁る」ことを繰り返したと振り返る。
今、DATAFLUCTが挑戦するのは、地球規模での持続可能性です。それを成し遂げるために企業変革のためのプロダクトを作り、さまざまな意思決定を、サステナブルを前提としたものに改革していきたい。この解決法を私は「サステナブルアルゴリズム」と呼ぶことにしたのです。
サステナブルアルゴリズムを実装するための、2つのビジネスモデルとは
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DATAFLUCTのミッションは、サステナブルアルゴリズムの実装によって、100年後も続く社会を作ること。そのためのビジネスモデルは2種類あるという。
1つは、「現場」に近いAI(人工知能)/ML(機械学習)/BI(ビジネス・インテリジェンス)アプリケーション領域の開発。ここでは、社会課題を起点にしたテーマを社員自らが設定し、バックキャスティング思考で解決のためのプロダクトを作っていく。
もう1つは、データプラットフォームを構築するエンジニアリング領域での支援。クラウドデータの活用を軸にした技術支援をすることで、進化を続けるデータ活用をより簡単にし、誰もが使えるようにして価値を見出していく。同社では、この2つの領域が互いに干渉し合うことで、双方のビジネスが発展していく仕組みと組織体制を作り上げている。
さらに、久米村氏は、DATAFLUCTがこれまでに公開してきたさまざまな領域のデータ活用事業(下図)を例に、目指す未来について語った。
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続く挑戦。「不確実性にチャレンジしていくことこそ、価値がある」
今後に向けた同社の挑戦について、久米村氏はこう語る。
そして、すべてのステークホルダーがデータを共有することで、あらゆるものごとを最適化できる状況を整え、全員が未来を見据えながら日々の意思決定ができる世界を実現したいと考えています。
たとえば、経済性ばかりを重視して、「販売機会を逃すくらいであれば、多く発注しておこう」というこれまでの考え方・意思決定を続けていると、限りある資源活用に大きな負荷をかけるし、企業にとってもロスが発生します。
DATAFLUCTは「新たな価値観で見えないものを見えるようにし、意思決定において新しい視点・視座・視野を提供する」ことを目指しています。他にも、都市のデザイン、働き方、気候変動など、さまざまな領域の課題をデータの力で解決したいです。
こうした挑戦は軽視されているように感じます。それでも、「不確実性にチャレンジしていくことにこそ価値がある」と考え、事業に取り組み続けたい。自社のデータや資産を有効活用することで、こうした課題に貢献・挑戦したいと考えられている企業がいらっしゃったらぜひ今後、ともに事業を作っていきたいですね。
「サステナブルアルゴリズム」をもって、100年先を見据えた長期的な視点でデータ活用を考えるDATAFLUCT。挑戦を積み重ねた先で今後与えていくだろう社会へのインパクトを注視していきたい。
からの記事と詳細 ( “100年後も持続する社会”を見据えた意思決定のために、データを使う「サステナブルアルゴリズム」とは - Ledge.ai )
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