「平成の大合併」による自治体の大型化に伴い、行政機関や商業施設などが集まる市街地と中山間地域の距離は、より遠くなってしまった。こうした状況にあって、生活サービスの確保で役割を果たすのが小さな拠点だ。
内閣府によると、小さな拠点の主な定義は「中山間地域などで、住民の生活に必要なサービス機能を一定程度確保している施設」。2021年度時点で全国に2106カ所あり、同府が調査を始めた16年度から増え続けている。
小学校区や旧小学校区の範囲で活動する拠点が多く、全体の半分を占める。自治体が大型化し、周辺部に目が届きにくくなる中で、地域住民の生活を多様な活動で支援。車両を運行して地域内や市街地への移動手段を確保したり、食料品などを扱う商店を運営したりと、住民のニーズに応じて、生活に密着した活動を展開している。
拠点の運営主体の多くは、地域住民を中心とした「地域運営組織(RMO)」。市町村を対象に総務省が課題を調査したところ、「活動資金の援助」に次いで「活動の担い手・リーダーの育成・研修」との回答が多かった。運営側には高齢者が多い。70代を中心に地域交通や商店の運営を担うある拠点のメンバーは「いつまで現役でいられるか分からない」と打ち明ける。
農業も、農業者の減少や高齢化が進み、中山間地域を中心に農地の維持も難しくなってきた。そこで農水省は、新たな政策として「農村型地域運営組織(農村RMO)」を育成する方針を打ち出した。
中山間地域等直接支払制度の活動組織や農業法人、集落営農などの農業者の組織と、自治会や社会福祉協議会、NPO法人といった地域の組織が連携、農地の保全から生活支援までを手掛ける事業体をつくる構想だ。農水省は22年度、農村RMOの創設に向けた取り組みの支援を始める。
人的協力でそれぞれの活動を支えたり、新たな事業に取り組んだりする。農水省は、地域おこし協力隊や特定地域づくり事業協同組合が派遣する従業員も人材として想定。田園回帰が広がる中、外部人材の取り込みにも期待する。
農村RMOにはさまざまな地域の組織が関わり、関係する国の制度や施策も多岐にわたる。行政は、創設への道筋を示し、国も自治体も府省や部署の枠を越えて支援することが求められる。
からの記事と詳細 ( 小さな拠点 農村持続へ組織連携を - 日本農業新聞 )
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