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Tuesday, December 21, 2021

「従業員エンゲージメント向上のための効果的なアクションプラン」に関する研究結果を公開 - PR TIMES

 
  • 調査背景
“人の時代の21世紀”と言われる昨今において、組織診断・従業員満足度調査の数が増加している。その指標として、今最も注目されているのが“従業員エンゲージメント”だ。しかし、調査・可視化はしているものの「生産性向上・組織改善に繋がっているか」というと、多くの企業が頭を悩ませている。どんなに精緻に現状把握をしたとしても、改善に向けた目標設定やアクションプランの継続ができなければ、生産性や組織は変わらない。では一体、どのようなアクションプランを設定することが、従業員エンゲージメントの向上に繋がるのだろうか。

本調査では、国内最大級の8,010社、203万人※のデータベースを保有する『モチベーションクラウド』の情報を元に、従業員エンゲージメントの向上に寄与しているアクションプランの傾向について調査した。生産性向上・組織改善を図る上で、どんなアクションプランを設定することが望ましいのか、考察していきたい。

※2021年12月現在のデータを参照

 

  • 調査概要
■モチベーションクラウドの概要
『モチベーションクラウド』とは、㈱リンクアンドモチベーションが2016年にリリースした、組織改善のクラウドサービスである。国内最大級のデータベースをもとに、組織状態を可視化し、PDSサイクルを促進するアクションプラットフォームを構成する。本調査では、従業員エンゲージメントの向上のために「どのようなアクションプランが効果的であったか」の要素を抽出するべく、リリースから現在に至るまで、モチベーションクラウドに登録されている全てのアクションプランデータを元に、分析を実施した。
 

                図1 モチベーションクラウドの概要

■分析対象・分析方法
分析対象:8,010社、203万人のサーベイ結果及び、登録されたアクションプランに関する情報

分析方法:以下2つの観点から分析を実施
1)アクションプランの進捗率
2)アクションプランに登録されている内容

■分析における参考フレーム
本調査において、目標設定の際に活用されている「SMART(スマート)」の観点を参考とした。
※なお、「SMART」の観点には様々な定義が存在するが、本調査の目的を鑑みた上で、より具体的な要素を抽出するために下記の定義を採用した。
 

                       表1 SMARTの観点

 

  • 調査結果
アクションプランを持続している組織ほど、エンゲージメントスコアは向上している。

モチベーションクラウドに登録されているアクションプランの進捗率と、エンゲージメントスコア※の向上率について分析したところ、下記の通りであった。
※組織診断サーベイの結果を元に偏差値として算出した当社独自のスコア。社員の会社に対する共感度合い。

・改善項目(注力ポイント)を入力している    :52.9%
・アクションプランを入力している        :53.0%
・アクションプランを進捗させている       :53.7%
・アクションプランの進捗率が「100%」である:56.0%

このことから、アクションプランを進捗させ、持続している組織ほど、エンゲージメントスコアは向上していると言える。
 

                            表2 アクションプランの進捗率とエンゲージメントスコア向上率の関係

アクションプランの内容に、行動に繋がる具体性(≒Specific)があるとアクションプランの進捗率が
高い。

【1】アクションプランの進捗率が上位の単語は行動が明確なもの、下位は曖昧なものが多い

■「動詞」に関する分析
上位:策定、使う、開催、情報共有、ヒアリング、決める、など
下位:つながる、わかる、沿う、任せる、捉える、踏まえる、など

                                                          表3 「動詞」に関する分析

■「名詞」に関する分析
上位:アンケート、朝礼、面談、フィードバック、ヒアリング、毎月、実施、など
下位:提案、検討、運用、施策、成果、など

                    表4 「名詞」に関する分析

【2】アクションプランの進捗率が上位の単語は行動を形容するもの、下位は状態を形容するものが多い

■「形容詞」に関する分析
上位(行動): 簡単、快適、正確、活発、迅速、など
下位(状態): 大きい、細かい、クリーン、少ない、オープン、など
 

                    表5 「形容詞」に関する分析

以上のことから、アクションプランの内容に、行動に繋がる具体性があると、アクションプランの進捗率が高いと言える。

アクションプランの内容が、表現が短く端的で達成できる粒度(≒Achievable)であるとアクション
プランの進捗率が高い。

【1】アクションプランの進捗率が高い組織ほどアクションプランの平均文字数が「30文字」程度と、表現が短く
端的になっている

下図の通り、アクションプランが進捗している組織、及び、アクションプランの進捗率が100%の組織ほど、アクションプランの平均文字数が「30文字」程度と端的であることがわかった。
 

                 図2 アクションプランの文字数の平均

【2】アクションプランの進捗率が低い組織ほど、アクションプランの文字数が「50文字」を超えており、やや冗長な表現になっている

下図の通り、アクションプランが進捗していない組織、及び、アクションプランの進捗率が100%未満の組織ほど、アクションプランの文字数が「50文字」を超えており、やや冗長な表現になっていることがわかった。
 

                図3 アクションプランの文字数の分布

以上のことから、アクションプランの内容が、表現が短く端的で達成できる粒度であると、アクションプランの進捗率が高いと言える。

アクションプランの内容が、期限やスケジュールが明確(≒Time-bound)であるとアクションプランの
進捗率が高い。

下表の通り、
When(いつ)の記載なし:61.8% 
When(いつ)の記載あり:70.8%
と、約10%の差異が見られた。
このことから、期限やスケジュールが明確であると、アクションプランの進捗率が高いと言える。
 

                   表6 「When」(いつ)の記載有無

 

従業員エンゲージメント向上のためには、診断だけに留まらずアクションを持続することが重要である。
持続させるためには「行動に繋がる具体性があること(≒Specific)」「表現が短く端的で達成できる粒度であること(≒Achievable)」「期限やスケジュールが明確であること(≒Time-bound)」の3つの要素を満たすアクションプランを設定することが効果的である。

本調査によって、従業員エンゲージメント向上のためにはアクションプランを決めて終わりではなく、進捗を管理しながらアクションプランを持続させることが重要であることがわかった。また、アクションプランを持続させる上では、SMARTの観点の中でも「Specific(具体性)」、「Achievable(達成可能性)」、「Time-bound(期限)」の3つがキーであり特に下記が重要なポイントであることがわかった。

「Specific(具体性)」     :具体性に加えて、実際の行動に繋がるような表現であることが重要
「Achievable(達成可能性)」:達成可能性を高める上でも、
                                               冗長になりすぎず短く端的な表現であることが重要
「Time-bound(期限)」   :期限のみならず、
                                            「いつやるのか」というスケジュールが明確であることが重要

 

  • 発行責任者のコメント
今回のレポートでは、弊社サービスである組織改善プラットフォーム『モチベーションクラウド』に登録されているアクションプランの蓄積データを元に、従業員エンゲージメントを高める上でどのようなアクションプランを設定することが効果的なのか、その傾向や特徴について分析しました。

ISO 30414をきっかけとして、世界的に“人的資本経営”に対する関心が高まっています。中でも “従業員エンゲージメントの活用”に関しては、日本でもここ数年実施企業が急増しています。しかし、調査・可視化はしているものの「生産性向上・組織改善に繋がっているか?」というと、多くの企業が頭を悩ませている状態ではないでしょうか。

本調査によって、従業員エンゲージメントの向上のためには「アクションプランの単発的な実行に留まらず、継続・持続する」ことがまず重要であることがわかりました。そして、継続・持続させるためには「行動に繋がる具体性があること」「表現が端的で達成できる粒度であること」「期限・スケジュールが明確であること」という3つの要素が重要となります。

この結果は、目標設定でよく用いられる「SMARTの観点」の中でも「Specific(具体性)」「Achievable(達成可能性)」「Time-bound(期限)」がより重要であることを示しています。

HR Techの第一人者であるジョシュ・バーシン氏は「これからの従業員エンゲージメント市場において、”EX(Employee eXperience)4.0”の時代が到来する」と提言しています。これまでのEX3.0では「ダッシュボード化及び、アクションプランの実行」が重視されていましたが、これからのEX4.0では「持続的に行動できるアクションプラットフォームの確立」が求められるという内容です。モチベーションクラウドが目指す姿は正にEX4.0であり、今後は「業界」や「従業員数」別でもアクションプラン持続のためのポイントを抽出し、従業員エンゲージメント向上の一助となるデータ分析を進めていきたいと考えています。

▶プロフィール
大島 崇(おおしま たかし)

株式会社リンクアンドモチベーション
モチベーションエンジニアリング研究所 所長
2000年 京都大学大学院エネルギー科学研究科卒業
2005年 住商情報システム株式会社を経て株式会社リンクアンドモチベーションに入社
2010年 モチベーションマネジメントカンパニー 執行役部長に就任
大手企業向けの組織変革や人材開発で多くのクライアントを担当
同時に商品統括ユニット、モチベーションエンジニアリング研究所を兼任し、新商品を開発
2015年 モチベーションエンジニアリング研究所 所長に就任

<リンクアンドモチベーショングループの概要>
・代表取締役会長:小笹 芳央
・資本金:13億8,061万円
・証券コード:2170(東証一部)
・本社:東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー15階
・創業:2000年4月
・事業内容
組織開発ディビジョン(コンサル・クラウド事業、イベント・メディア事業)
個人開発ディビジョン(キャリアスクール事業、学習塾事業)
マッチングディビジョン(海外人材紹介・派遣事業、国内人材紹介事業)
ベンチャー・インキュベーション
 

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