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【10月27日 AFP】紛争の絶えないアフリカ中部コンゴ民主共和国。人々の生活は厳しいが、昨年設立されたチョコレート工場は起業家の勇気の象徴だ。 生産部長を務めるロジェ・ムヒンド(Roger Muhindo)さんは工場の入り口に立ち、誇らしげに「私たちは先駆者です!」と言った。中では従業員10人が地元産カカオのチョコレート「ビルンガオリジンズ(Virunga Origins)」を製造している。 紛争地域の同国東部では武装集団の脅威やインフラの不備が、ビジネス活動にとって常に大きな障害となっている。反政府勢力はこの1年で1000人近くを殺害。有刺鉄線と一帯を巡回する武装警備員が、最前線が遠くないことを物語っている。 国連(UN)のコンゴ専門家グループは6月、主要武装勢力の「民主同盟軍(ADF)」による襲撃や拉致事件に加えて、政府軍の不正を報告した。耕作放棄された畑で兵士たちがカカオの実を収穫し、隣国ウガンダでカカオ豆を違法に売りさばいているのだ。 多くの問題を抱えながらも、ビルンガ国立公園(Virunga National Park)はチョコレート工場の操業を維持している。この野生動物公園はマウンテンゴリラで有名な世界遺産だが、2020年1月、戦闘で疲弊したベニ(Beni)地区のムトワンガ(Mutwanga)に工場を設立した。 目標は収穫の現場でカカオを加工し、農業に依存する国の経済に付加価値のある仕事を創出することだ。またそれによって、あまたある武装勢力に加わる以外の選択肢を地域に提供したいと願っている。 「投資したいと考えている人は他にもいますが、怖いのです。ここでは戦争とかいろいろ起きますから」とムヒンドさん。 初めてチョコレートバーを出荷してから数か月後の昨年12月、ムトワンガと周辺の集落がADFの犯行とされるかつてなく激しい襲撃を受けた。 チョコレート工場から半径20キロ以内では、1年足らずの間に200人以上の民間人が殺されている。 イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」はADFをアフリカ中部の分派と位置付けており、2019年以降、ADFによる民間人や政府軍に対する攻撃の一部についてISが犯行声明を出している。 ■太陽光発電の焙煎(ばいせん)機 「畑にいる人々を守るため、あらゆる場所に少人数の部隊を配置している」と語るのは、政府軍のアントニー・ムワルシャイ(Antony Mwalushayi)氏。ベニ地区での反ADF作戦「ソコラ1(Sokola 1)」の広報を担当する。「とても大変だ」 しかも完成したチョコレートを扱っている農業協同組合の幹部によると、兵士の一部は「耕作人が畑を去るやいなや」カカオを盗んで密売業者に横流ししている。 それでも国立公園の管理者たちはひるまない。「生産能力を10倍に拡大して、国内外の需要に応えるつもりです」と職員のバスティアン・アラール(Bastien Allard)さんは言う。 「太陽光を電源とする焙煎機も導入する予定です。そうすれば、100%再生可能エネルギーで生産される先進的なチョコレートを私たちも手掛けることになります」 公園当局は2013年に運転を開始した小規模の水力発電所に続き、2年前にはルウェンゾリ(Rwenzori)山脈の麓にもう一か所、出力2.4メガワットの発電所を稼働させた。ムトワンガの町とこのチョコレート工場に電気を供給している。 安価で信頼できる電力供給と工場の狙いは、投資を呼び込み産業を育てることにある。発電所の責任者ジョナタン・カフンバ(Jonathan Kahumba)氏は「工場で実際にカカオがチョコレートに加工されるところを見てもらえる」と語った。 映像は2020年11月と2021年5月に取材したもの。(c)AFPBB News
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