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Saturday, October 31, 2020

いまのDeFiは持続不可能、CeFiがDeFiの理想をつくる【バイナンスCEO・寄稿】 - コインデスク・ジャパン

DeFi(分散型金融)は今年、ついに足場を固め、数多くのDeFiトークンやプロトコルが暗号資産(仮想通貨)ユーザーの幅広い人気を集めている。スマートコントラクトに支えられ、イールドファーミングのようなイノベーションによって、一般ユーザーは暗号資産を使って今までにないほどの利回りを獲得できるようになった。

DeFiはブームになっており、今、市場はあらゆる種類の借入・貸付プロトコルであふれ、その多くはユーザーに巨額の利益をもたらすとアピールし、競い合っている。2桁、3桁の利回りをアピールするプロトコルも珍しくない。従来の、いわゆる「高利回り」な預金口座で一般的な0.5%以下の金利に比べると、かけ離れている。

これらのプロトコルの多くは、いずれ持続可能なものではなかったことが判明するだろう。だが、次のことは間違いない。すなわち、数年後に振り返った時、新しく生まれたDeFiの波は、より大きな動きにつながっていたことが明確になるだろう。

「CZ」ことチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏は、取引高で最大級の暗号資産(仮想通貨)取引所を運営するバイナンス(Binance)の創業者兼CEO。

DeFiが共有する未来のビジョン

今、最も有望なDeFiプロジェクトはすべて、未来の同じようなビジョンを共有している。つまり、資産とデータの流れがより公平で、管理を組織から個人へと移行させる、これまでとは違う金融システムを生み出すことだ。

だが、これはA地点からB地点への一直線の道のりではない。最も人気のあるDeFiプロトコルでも、ほとんどの中央集権型取引所(CeFi)に比べると規模は小さく、取引所は暗号資産とブロックチェーンの領域で並外れた影響力を握っている。最高の中央集権型取引所はエンドユーザーが簡単に理解できる、魅力的でユーザーフレンドリーなサービスをさまざまに提供している。

例えば、我々、バイナンスは、伝統的市場に似た一連の包括的な金融商品を提供している。ユーザーは一度ログインするだけで、暗号資産を購入、販売、取引でき、オプション取引や先物取引を選び、暗号資産ローンを申し込み、利回りを稼ぐことができる。

中央集権型取引所が提供する商品は簡単に使え、理解でき、ウェブブラウザや、デスクトップまたはモバイルアプリを使ってアクセス可能だ。開発の初期段階では、イノベーションのペースを早めることも簡単。新しい機能の開発、バグの修正、全体的なUX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させる高品質バージョンの作成のためにチームが連携して取り組むことが可能だからだ。

決め手はユーザーからの信頼

最高のセキュリティとともに優れたUXの提供に注力することによって、ユーザーの「信頼を醸成」できるかどうか。本質的には、そこに中央集権型取引所の命運がかかっている。

信頼はまた、DeFiが主流としての大きな成功を収めるために不可欠な要素でもある。ユーザーは金融商品に関して主に、流動性、セキュリティ、安定性の3つを気にかけている。

これらは信頼(そして、確かな利益)を実現する。現状のDeFiプロトコルは理解や利用が難しいことで知られているが、中央集権型取引所は、洗練されたオーダー・マッチングエンジン、資産カストディ、安定したテクノロジーによって時間をかけて、徐々に、より使いやすく、多面的なものになってきている。

これらの要素は、市場と業界の構築を促進するという暗号資産取引所の存在意義を反映している。中央集権型取引所の関心事は、暗号資産市場の未来のために成熟したインフラを構築することに尽きる。

基盤が固まれば、プラットフォーム自体はプラットフォーム上に構築される、多様でイノベーティブなアプリケーションに席を譲る。イノベーターとして市場を牽引するのではなく、中央集権型取引所は徐々にパイオニア的なプロジェクトのためのインフラ・プロバイダーとしての役割を果たしていく。究極的には、中央集権型取引所はDeFiへの橋渡しとなる一時的な存在だ。

中央集権型取引所はDeFiへの橋渡し

我々は、この先に次のようなことが起こると考えている。

中央集権型取引所はDeFiやDeFi的なプロジェクトにとっての参入障壁を下げ、一方で流動性、セキュリティ、安定性を維持しつつ、ユーザーがDeFiのメリットを試すことができるようにする。こうした実験的な取り組みが市場によって「立証」され、DeFiモデルが成功すると証明されれば、市場の需要は後に続くだろう。

現在、バイナンスのユーザーは、ステーキング、貸付、プーリングサービスといった、DeFiから着想を得た商品を利用することができる。さらに我々は、開発者がDapp(分散型アプリ)やデジタル資産を開発できるスマートコントラクトベースのブロックチェーン、バイナンス・スマート・チェーン(BSC:Binance Smart Chain)上のDeFiプロジェクトに1億ドル(約105億円)のアクセラレータファンドを運営している。BSC上に登場する新たなDeFiプロジェクトの中から、次の「キラー」アプリケーションが生まれるかもしれない。

DeFiの普及については、我々はすでに「ターニングポイント」に達しているようだ。

結局のところ、金融におけるセルフカストディ(自己保管・自己管理)と分散化の永続的な魅力は、ブロックチェーンテクノロジーが本来目指すべき中心的価値。参加するすべての人にとって、お金の自由度を高め、これまでにないほど多くの人に金融上のチャンスをもたらす力を秘めている。つまり、DeFiは暗号資産の未来を目指すうえでの最終的な方向を定めている。

だが、DeFiには中央集権型取引所のサポートが必要。中央集権型取引所は、多くのユーザーにとって、初めてDeFiにアクセスする玄関口となるだろう。我々は、この業界の未来は分散化にかかっていると考えている。分散化の勢いが増すなか、全力を投入する時が来た。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:バイナンスのチャンポン・ジャオCEO(CoinDesk archives)
原文:All-In on DeFi: Why the Days of Centralized Exchanges Are Numbered

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November 01, 2020 at 07:00AM
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