[ニューヨーク 7日 ロイター] - 新型コロナウイルス感染症の治療効果が期待されている医薬品の臨床試験データが出てくれば、米国株の反発が持続するかもしれないとして、投資家は結果の公表を待ち望んでいる。
米ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス治験薬レムデシビルの試験結果は、今月中に出るとみられている。スイスのロシュ・ホールディングや米リジェネロン・ファーマスーティカルズなどの医薬品についても、近く試験結果が出ると期待されている。
専門家の予想では、新型コロナのワクチンが得られるのは少なくとも1年先になるとみられる。そうした中、治療薬を巡って何らかの進展があれば、投資家は感染拡大が抑制されて経済活動が一部再開する時期を予測しやすくなる。
「明るい臨床試験データが増えていけば、新型コロナもすべての疫病と同様、一過性の問題だという事実に胸をなでおろす投資家が増えるだろう」と語るのは、ナショナル・セキュリティーズの首席市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏だ。
米国その他の国々で、入院者数や集中治療を必要とする患者数に減速の兆しが出たこともあり、株価は反発に転じている。米S&P総合500種株価指数は、2月19日に付けた過去最高値からは約21%下落しているが、3月23日の安値からは19%持ち直した。
<数百の臨床試験>
米国立衛生研究所(NIH)のデータベースによると、新型コロナウイルス関連の臨床試験は現在330件以上行われている。他の症状の治療薬として承認済みの薬について、新型コロナへの効果を試験するものも多い。
ギリアドのダニエル・オデイ会長兼最高経営責任者(CEO)は3月28日、レムデシビルの最初のデータが「数週間中」に得られると述べており、アナリストは4月半ばにも公表される可能性があるとみている。
レムデシビルの絶大な効果が証明されると期待すべきではない、と楽観を戒める声もある。最初のデータは比較的重症の新型コロナ患者に対する試験から出てくる見通し。クレディ・スイスのバイオ技術アナリスト、エバン・シーガーマン氏によると、抗ウイルス薬は軽症の段階に最も効果を発揮するため、今回の最初のデータでは限定的な効果しか示されないかもしれない。
レムデシビルの効果が証明されたとしても、供給量に懸念が残る。ギリアドは先週、既存の供給量は治療コース14万回分強だと説明した。
リジェネロンと仏サノフィの「ケブザラ」の試験データも月内に出る可能性が期待されている。ロシュは関節リウマチ治療薬「アクテムラ」も新型コロナ感染症治療の臨床試験中だ。
数十年前の抗マラリア薬、「ヒドロキシクロロキン」についても研究が行われている。
トルイスト/サン・トラスト・アドバイザリー・サービシズの首席市場ストラテジスト、キース・ラーナー氏はロイターへの電子メールで「何かが効く、ということが分かるだけで、投資家は現在の状況の向こう側を考え始めることができる」と述べた。
(Lewis Krauskopf記者)
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〔アングル〕投資家は新型コロナ臨床試験データを待望、株価反転が持続か - ロイター
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