[東京 3日 ロイター] - 日銀の野口旭審議委員は2日の講演で、日本は現状で米欧のように賃金上昇が主導するインフレにはなっていないとして、「2%物価目標の達成には、それと整合的な持続的賃金上昇に裏付けられた物価上昇が必要だ」と指摘した。
日本の現状は、今年の春季労使交渉で実現された30年ぶりの賃上げによって「ようやくその目標達成の可能性が見えてきた段階にすぎない」と述べた。
コロナ禍による世界的な高インフレが、輸入物価の大幅な上昇を通じて日本に根付いた「物価も賃金も上がらないことを常態とする通念」を打ち壊しつつある、との考えも示した。
野口委員は講演で、各国のマクロ経済政策の変遷を俯瞰した。その中で、長期的な中立金利について、世界経済の潜在成長率が上昇しておらずコロナ禍前と比較して高まっていない点は専門家の間でほぼ合意されているものの、各国・地域が数十年ぶりの高インフレと高金利に直面した結果、短期的な中立金利は「コロナ禍前から高まっていることを示唆している」と話した。
(和田崇彦)
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