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Monday, September 11, 2023

高まる圧力 それでもまだ持続できるロシア戦時経済 - 日経ビジネスオンライン

戦争や制裁によりロシア経済にかかる圧力は、いずれ戦争継続が困難になるほどまで高まるだろうか。ロシア政府は、西側によるウクライナ支援が弱まるまで経済を持ちこたえさせればよいと考えている。非常時の基金や債券発行、資本規制などの対策で、ロシア経済はまだ当分維持できそうだ。

2024年にロシア大統領選挙が控えている(写真=SPUTNIK via ロイター)

2024年にロシア大統領選挙が控えている(写真=SPUTNIK via ロイター)

 ロシア連邦統計局によれば、2023年6月のロシア国内での車両、トレーラー、セミトレーラーの生産は、前年同月比で50%以上増加した。

 一方、ロシア中央銀行は、23年1~3月期の工業労働者の不足が、調査を開始した1998年以降で最も深刻だったと発表。また、過去3カ月のインフレ率を、目標の年4%を大きく上回る7.6%(年率換算)と推定した。

 言うまでもなく、ウラジーミル・プーチン政権下のロシアの公式経済データは、十分に注意して見る必要がある。しかし、これら3つの指標が描く全体像は、恐らく事実とそうかけ離れてはいない。ウクライナへの大規模な侵攻を開始してから1年半が経過し、ロシアはインフレ、労働力不足、歳出増、赤字財政といった多くの古典的な戦時経済症状を示している。

 ウクライナ政府と同国を支援する西側諸国にとり、問題は、ロシア経済にかかる圧力が、将来どこかの時点で、ウクライナ併合を目指すロシア政府の戦いを頓挫させるほどまで高まるかどうかだ。

 西側の制裁は間違いなく、この圧力を高める働きをしている。特に、ロシア産石油・天然ガスの輸出で得られる資金を削っていることが大きい。

増税せずにすませたい

 しかし、ロシアの政策担当者の手元にはまだ、戦時経済を維持するために使えるいくつかのカードが残されている。

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