九州山地の中央に位置し、面積の96%を森林が占める宮崎県椎葉村。豊かな自然を誇り、平家落人伝説が伝わることから、日本三大秘境の一つにも数えられる同村には、約2400人が暮らす。人口減少が喫緊の課題となる中、昨年7月に就任した黒木保隆村長(くろぎ・やすたか=67)は、「将来にわたって持続する」村を目指し、UIターン政策を積極的に展開する。
今年度から村独自の「移住支援給付金制度」を新設。単身60万円、家族100万円を基本に、引っ越し費用として10万円、さらに中学生以下の子どもに1人当たり30万円を加算する。Uターンを促進するため、支給のハードルを下げ、県外ではなく、村外からの転入者を対象とした。
移住前の居住地や就業の制限などから、国や県の移住支援金の対象にならない人を呼び込む狙いもある。すでに5世帯6人(Uターン5人、Iターン1人)への支給が決定し、「まずは人口減少を止めることが先決」と力を込める。
今年度は単身2件、子ども連れ家族1件を想定し、250万円の予算を確保していたが、申請総額が340万円となったため、6月補正で90万円を追加確保した。
「UIターンの創出に向けて、リモートワークは推進していきたいツールの一つ」と強調。リモートワークに積極的な企業と共同で移住者の募集も行う。これまでにIT企業「キャスター」(宮崎県西都市)や「タイミー」(東京都豊島市)と連携協定を結んだ。
こうした企業に雇用されて村に移住し、リモートワークを行う人が増えることを期待する。村が2020年7月にオープンさせた交流拠点施設「Katerie(かてりえ)」にはコワーキングスペースを設置。村内の全戸に光ファイバー網も整備しており、これらの施設・設備を活用して新しい働き方を推進する。
今後の課題として、単身高齢者の増加を指摘。「将来的に今の持ち家に住み続けるのは難しいという村民の声も聞く。1人住まいの心配もあり、単身の高齢者向けに集合体となる住宅を造れないかと思っている」と打ち明ける。
村長として心掛けるのは「村民に寄り添い、村民の声に敏感に反応すること」。年に1度、村長や各課長らが村内10地区に出向く「地域づくり懇談会」を実施。住民からの意見や要望を直接聞き、今後の行政に生かすことを目的としている。
20年は新型コロナウイルスの影響で中止したが、長年続いている取り組み。「村民の声を聞くことが一番大事。基本のスタイルとして、今後も続けていきたい」と意欲を示す。
〔横顔〕1973年に村役場に入り、総務課長や副村長を歴任。母、妻、長女と4人暮らし。趣味はゴルフ。新型コロナや公務の関係で、最近はなかなかプレーできていないが、「年に20回くらい行っていた頃もある」という。
〔町の自慢〕自然と人。山の緑と人の優しさは「値段の付けようがない」。(2022/06/28-10:12)
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